事例でわかる！4P分析のフレームワークと実践方法をわかりやすく解説

2024.10.25

「4P分析」ってよく聞くけど、実際どんな風にビジネスに活用すればいいの？

そんな悩みをお持ちの方へ。この記事では、マーケティング戦略の基礎となる4P分析について、誰もが知る人気企業「スターバックス」と「ユニクロ」を例に、具体的な活用方法をわかりやすく解説します。

さらに、3C分析と組み合わせた実践的な活用方法についても紹介するので、ぜひ最後まで読んでみてください！

【この記事でわかること】
・4P分析とは？その目的とメリット
・ 4P分析のフレームワーク
・スターバックスとユニクロの事例で学ぶ、4P分析の実践方法
・ 3C分析と組み合わせた、より効果的な活用方法
・4P分析をビジネスで活用するためのポイント

4P分析とは？

4P分析とは、「Product（製品）」「Price（価格）」「Place（流通）」「Promotion（プロモーション）」という４つの視点からマーケティング戦略を分析するフレームワークです。

Product（製品）	ターゲット顧客が求める製品・サービスは何か？
Price（価格）	ターゲット顧客が納得する価格は？
Place（流通）	ターゲット顧客が商品を手に取りやすい場所、購入しやすい方法は？
Promotion（プロモーション）	ターゲット顧客に効果的に商品をPRする方法は？

それぞれの頭文字を取って、4P分析と呼ばれています。読み方は「よんぴーぶんせき」です。

自社の強みや弱み、市場や顧客のニーズを分析することで、より効果的なマーケティング戦略を立案することができます。

4P分析を行う目的

4P分析はビジネスの成功には欠かせません。ただ闇雲にマーケティング活動を行うのではなく、4P分析を通じて戦略的に実行していくことができるようになるからです。

4P分析を行う目的は以下の通りです。

1. 顧客理解とターゲティングの明確化

誰に、どんな価値を届けたいのか？を明確にすることで、顧客ターゲットを絞り込み、より効果的なマーケティング戦略を展開できます。

2. 製品・サービスの強みと差別化ポイントの明確化

顧客視点で自社の製品・サービスを分析することで、強み・弱みを把握し、競合との差別化ポイントを明確化できます。

3. 効果的なマーケティング戦略の立案

4Pの要素を相互に関連付けながら分析することで、顧客に響くマーケティングミックス戦略を立案できます。

4. 売上向上と顧客満足度の向上

顧客ニーズに合致した製品・サービスを、適切な価格、適切な方法で提供することで、売上向上と顧客満足度の向上に繋がります。

5. 意思決定の迅速化と効率化

4P分析というフレームワークを用いることで、戦略立案の軸が明確になり、関係者間での認識共有や意思決定がスムーズになります。

6. 事業計画のブラッシュアップ

既存事業はもちろん、新規事業立ち上げ時にも、市場分析や顧客ニーズを把握するツールとして活用できます。

4P分析のフレームワーク

フレームワークとは、「何かを達成するための枠組み」や「問題解決のための思考の型」を指します。

目標を達成するために必要な要素とその関係性を整理し、可視化することが目的です。複雑な問題や状況を整理できることはもちろん、あらかじめ用意された枠組みに沿って考えることで、思考の抜け漏れを防ぎ、より効率的に解決策を見出すことができます。

4P分析では、それぞれ4つの要素について Product → Price → Place → Promotion の順に箇条書きで入力していきます。一般的には上記のようなテンプレートが使用されます。

4つの要素は相互に関連しあっているため、単独で考えるのではなく、相互の関係性を考慮しながら、全体最適なマーケティング戦略を立案することが重要です。

1. Product （製品・サービス）

顧客に提供する製品・サービス自体を分析します。機能、品質、デザイン、ブランド、パッケージ、アフターサービス、保証など、具体的に書き出します。

分析のポイント

ターゲット顧客のニーズを満たしているか？
競合製品と比較して、どのような強み・弱みがあるか？
顧客に新しい価値を提供できるか？

2. Price （価格）

製品・サービスを顧客に提供する際の価格設定を分析します。定価、割引額、支払い方法、分割払いの可否、クレジット決済、送料なども考慮しましょう。

分析のポイント

ターゲット顧客にとって、価格設定は適切か？
競合製品と比較して、価格は高いか安いか？
顧客は価格に見合った価値を感じるか？
利益を確保できる価格設定になっているか？

3. Place （流通）

顧客が製品・サービスをどのように購入できるのか、その経路や販売方法を分析します。具体的には、販売チャネル（実店舗、オンラインストア、代理店など）、販売場所、在庫管理方法、配送方法、物流システムです。

分析のポイント

ターゲット顧客は、どこで商品を購入したいと考えるか？
競合はどのような流通経路を持っているか？
顧客にとって、購入しやすい仕組みになっているか？
スムーズな商品提供が可能か？

4. Promotion（プロモーション）

顧客に対して、製品・サービスをどのように認知させ、購買意欲を高めるかを分析します。広告、広報、販売促進、Webマーケティング、SNSマーケティング、コンテンツマーケティング、イベント、口コミなど、最適な方法を考えてみましょう。

分析のポイント

ターゲット顧客に効果的なプロモーション方法は何か？
競合はどのようなプロモーション活動を行っているか？
顧客とのコミュニケーションは適切か？
ブランドイメージを構築できているか？

【事例】スターバックスとユニクロの4P分析

スターバックスとユニクロを例に、具体的な4P分析のやり方を見ていきましょう。

スターバックスの4P分析

スターバックスは、高品質なコーヒーや飲料、フード、商品を提供するグローバルブランドです。

顧客に「サードプレイス」を提供することに重点を置いており、自宅や職場とは異なる、居心地の良いリラックスできる環境を提供しています。以下は、スターバックスの4P分析です。

1. 製品 (Product)

高品質のコーヒー
アラビカ種コーヒー豆を使用し、独自の焙煎方法で高品質なコーヒーを提供しています。

多様なメニュー
コーヒー以外にも、紅茶、フラペチーノ、ペストリー、サンドイッチなど、幅広いメニューを提供しています。

カスタマイズ可能な商品
ミルクの種類、シロップ、トッピングなどを自由にカスタマイズできます。

季節限定商品
季節ごとに新しいドリンクやフードを提供し、顧客の興味関心を維持しています。

ブランドグッズ
マグカップ、タンブラー、コーヒー豆など、スターバックスブランドの商品を販売しています。

洗練された店舗空間とサービス
洗練された内装と居心地の良い空間を提供し、顧客が長時間滞在できる環境作りをしています。

2. 価格 (Price)

プレミアム価格戦略
競合他社と比較して、高価格帯の価格設定を行っています。

価値に見合った価格
高品質な商品、快適な空間、ブランド体験に対して、顧客は価格に見合う価値を感じています。

ロイヤルティプログラム
ポイントシステムや会員限定の割引を提供し、顧客のリピート率を高めています。

3. 流通 (Place)

立地戦略
交通量の多い場所や商業施設内など、アクセスしやすい場所に店舗を構えています。

モバイルオーダー
アプリを通じて事前に注文と支払いができるため、顧客の利便性を向上させています。

デリバリーサービス
一部の地域では、Uber Eatsなどのデリバリーサービスを通じて商品を配達しています。

4. プロモーション (Promotion)

ブランドイメージ
洗練されたブランドイメージと高品質な商品を通じて、顧客の心を掴んでいます。

ソーシャルメディア
Facebook、Twitter、Instagramなどのソーシャルメディアを活用し、顧客とのエンゲージメントを高めています。

季節限定キャンペーン
季節ごとに新しい商品やキャンペーンを展開し、顧客の購買意欲を高めています。

地域貢献活動
地域社会への貢献活動を通じて、企業としての社会的責任を果たすとともに、ブランドイメージの向上に努めています。

スターバックスは、高品質な商品、プレミアムな価格設定、戦略的な立地、効果的なプロモーションによって、世界中で愛されるブランドとしての地位を確立しています。顧客に「サードプレイス」を提供するという明確なブランドコンセプトが、スターバックスの成功の要因と言えるでしょう。

ユニクロの4P分析

ユニクロは、高品質で低価格なベーシックアパレルをグローバルに展開するブランドです。シンプルで長く着られるデザイン、革新的な素材開発、効率的なサプライチェーンが特徴です。

以下は、ユニクロの4P分析です。

1. 製品 (Product)

高品質なベーシックアパレル
シンプルで着回しやすいデザインの衣料品を、低価格ながらも高品質な素材で提供しています。

機能性素材への注力
ヒートテック、エアリズム、ウルトラライトダウンなど、快適性や機能性を追求した独自の素材開発に力を入れています。

コラボレーション
定期的にデザイナーやブランドとのコラボレーションラインを展開し、トレンドを取り入れています。

幅広い顧客層への対応
メンズ、レディース、キッズ、ベビーと幅広い年齢層に向けた商品展開をしています。

2. 価格 (Price)

低価格戦略
大量生産、効率的なサプライチェーン、中間業者を介さないSPA (製造小売業) モデルにより、低価格を実現しています。

価値に見合った価格
低価格でありながらも高品質な商品を提供することで、「お値打ち感」を訴求しています。

価格帯のバリエーション
ベーシックアイテムは低価格帯に抑えつつ、コラボレーションラインや一部商品は高価格帯を設定し、収益性を高めています。

3. 流通 (Place)

グローバル展開
世界中に店舗を展開し、世界中の人々に商品を届けています。

大型店戦略
広い売り場面積を活かし、豊富な商品ラインナップを展開しています。

オンラインストア
オンラインストアでも商品を購入できる体制を整え、顧客の利便性を向上させています。

戦略的な立地
路面店、ショッピングモール内、駅ビルなど、人通りの多い場所に店舗を構えています。

4. プロモーション (Promotion)

広告宣伝
テレビCM、新聞広告、雑誌広告などを積極的に活用し、ブランド認知度向上に努めています。

グローバルブランドアンバサダー
世界的に有名なアスリートや文化人をブランドアンバサダーに起用し、ブランドイメージの向上を図っています。

ソーシャルメディア
Facebook、Twitter、Instagramなどのソーシャルメディアを活用し、顧客とのコミュニケーションを強化しています。

地域密着型マーケティング
地域のイベントに参加したり、地元の団体と協力したりするなど、地域に密着したマーケティング活動も行っています。

ユニクロは、高品質で低価格なベーシックアパレルをグローバルに展開することで、世界中の人々に支持されています。効率的なサプライチェーンと効果的なマーケティング戦略により、低価格ながらも高品質な商品を提供し続けています。
今後は、環境問題への配慮、サプライチェーンにおける労働環境問題への対応、新興国市場でのさらなる成長に取り組み続けることで、ユニクロはグローバルブランドとしての地位を維持していくと考えられます。

3C分析と4P分析を組み合わせた活用方法

4P分析はマーケティング戦略の分析において非常に有効なフレームワークですが、外部環境の分析が不足しているという指摘もあります。

そこで、外部環境を分析する 3C分析 と組み合わせることで、より実用的で精度の高いマーケティング戦略を立案できます。

3C分析とは、「Customer（顧客）」「Competitor（競合）」「Company（自社）」の3つの視点から現状分析を行うフレームワークです。

顧客（Customer）	ターゲット顧客は誰か？ニーズ、購買行動、ライフスタイル、価値観などを分析します。
競合（Competitor）	競合企業はどこか？競合の強み・弱み、戦略、商品、価格などを分析します。
自社（ Company）	自社の強み・弱み、資源、ブランドイメージなどを分析します。