営業やマーケティング業務に携わっていると、「〇〇分析」という言葉をよく耳にします。
なかでも間違えやすいのは3C分析・SWOT分析・PEST分析・PPM分析の4つ。
そこで今回は3C分析に注目して、3C分析とは何か、3C分析の意味やメリットなどについて、事例をもとにわかりやすく紹介していきます。3C分析のテンプレートを使って、分析方法も解説します。
まずは3C分析の意味をわかりやすく解説
3C分析の3C(サンシー、スリーシー)とは、それぞれ以下の3つの単語の頭文字から取っています。
- Customer(市場・顧客)
- Competitor(競合)
- Company(自社)
この3つの視点からリサーチを行い、戦略を練るためのフレームワークのことを「3C分析」といいます。
3C分析 とは?
3C分析とは、企業のマーケティングにおいての課題や戦略を導き出すために用いられる分析方法のひとつ。
顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の3つの「C」について分析します。
3C分析の大きな目的は「KSF: Key Success Factor」すなわち「成功要因」を発見することです。
市場の流れやニーズ・競合の動き・自社の強みや弱みの分析からKSFを導句ことが出来れば、事業の進むべき道が見えてくるとされています。
最近では上記の3Cに、流通(Channel)を加えた4C分析や、協力者(Collaborators)と背景(Context)を加えた5C分析といった発展形も考案されています。
◆関連用語
3C分析の目的とは?
3C分析はマーケティング戦略を立案するためのフレームワークのひとつ。
SWOT分析やPEST分析など、マーケティングフレームワークとの関係を図にすると上のようになります。
顧客にサービスを売り、ビジネスを成功させるには「市場・顧客」「競合」「自社」の分析は欠かせません。3C分析をすることで、市場のトレンドや競合他社の動向はもちろん、自社の現状についても知ることができます。
3C分析をするメリット
3C分析のメリットは、マクロ環境とミクロ環境の両面から分析できることにあります。
マクロ環境とは景気や市場トレンド、法律などのコントロールできない外部要因のことをいい、ミクロ環境とは顧客ニーズや商材などのコントロール可能な内部要因のことをいいます。
自社を取り巻く環境や自社内の強みや問題点を把握したうえで効果的に売る方法、つまりマーケティング戦略を立案することが目的です。
3C分析のやり方・進め方
3C分析の具体的なやり方について、3つの「C」に分けて見ていきましょう。
Customer(市場・顧客)を分析する方法
近年では顧客視点でのマーケティングが重視されるため、初めは市場と顧客の分析から行います。市場と顧客ニーズの変化を把握しなければ、効果的な戦略の立案はできません。なお、分析には「マクロ分析」と「ミクロ分析」を用いるのが一般的です。
マクロ分析
景気変動や法改正、人口、社会的変化などを対象とした巨視的観点の分析です。一般的には、PEST分析がフレームワークとして使われます。
- Politics(政治)
- Economy(経済)
- Society(社会)
- Technology(技術)
PEST分析については以下の記事でも詳しく解説しています。
・マーケティングにおいて重要なPEST分析とは?構成要素から導入ステップ、事例を解説
ミクロ分析
業界の構造変化など、自社を取り巻く環境を分析して、新たな戦略の立案に役立てます。一般的には、5フォース分析がフレームワークとして使われます。
5フォース分析とは、以下の5つの要素に分けて分析する手法のことで、それぞれが自社にどのように影響するかを明確にするものです。
- 新規参入の脅威
- 業界内での競争
- 代替品の脅威
- 買い手の交渉力
- 売り手の交渉力
マクロ分析とミクロ分析を終えたら、その分析結果が顧客の価値観やニーズに与えている影響を検討していきます。
Competitor(競合)を分析する方法
市場や顧客の変化に対する競合他社の動向を分析します。競合他社のビジネスの「結果」と「要因」の2軸で分析を進めます。情報収集が難しいデータもありますが、可能な範囲で多くの情報を得るようにしてください。
結果の分析
売上や利益率、市場シェア、顧客数など、ビジネスにおける明白な結果を対象に分析します。
要因の分析
営業体制や顧客サポートなど、「結果につながった要因」を対象に分析します。
Company(自社)を分析する方法
市場と顧客、競合の分析結果を踏まえて、自社が成功できる要因を探ります。自社内部の分析方法としては、経営資源にフォーカスしたVRIO分析が使われます。
5フォース分析と補完し合う関係にあるため、それぞれの分析方法の特徴を押さえながら活用しましょう。VRIO分析では以下の4要素を客観的に評価します。
- 経済価値(Value)
- 希少性(Rarity)
- 模倣困難性(Inimitability)
- 組織(Organization)
3C分析とSWOT分析の違いは何?
自社の外部と内部の総合的な分析方法には、SWOT分析が用いられます。SWOT分析と3C分析は、事業の現状分析を行うためのフレームワークですが、目的や視点が異なるので解説していきます。
SWOT分析は、自社の強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)の4つの要素を分析し、自社の立ち位置や戦略を明確化することを目的としています 。自社のリソースや内部環境を整理するのに向いています。
- Strengths:自社の強み
- Weaknesses:自社の弱み
- Opportunities:機会
- Threats:脅威
3C分析は、顧客・市場(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の3つの要素を分析し、顧客に提供する価値を明確化することを目的としています 。顧客や競合など社外の要素を加味した分析に向いています。
つまり、SWOT分析は自社を中心とした視点で考える一方、3C分析は顧客を中心とした視点で考えるということが大きな違いです。
SWOT分析の具体的な方法について、以下の記事でも詳しく解説しています。
任天堂の3C分析
3C分析の内容は、実際の企業を例に挙げた方が理解も早いことでしょう。今回は、ゲーム開発で有名な日本国内の企業、「任天堂株式会社(以下:任天堂)」を挙げて3C分析を行います。
ここでは、2004年の任天堂の動きを例に、3C分析はどのように行うべきなのか見ていきましょう。
※ここに記載のある分析内容や戦略はあくまで「推測」であり、事実とは異なる可能性もございます。ご了承ください。
2004年12月に国内で「ニンテンドーDS」をリリース
2004年12月、任天堂は2つのスクリーン・タッチパネル・ワイヤレス通信を搭載した家庭用ゲーム機「ニンテンドーDS」をリリースします。
なお、「ニンテンドーDS」は、「ゲームボーイ」に次いでシリーズ累計1億台以上の販売実績を残したゲームハードです。(2021年6月末時点)
ニンテンドーDSリリースの背景にある3C分析
ニンテンドーDSは、どのような3C分析の結果によってリリースされたのでしょうか。その分析内容を想定してみましょう。
視点 | 分析内容 |
Customer (市場・顧客) | ・持ち運べるゲーム機の需要は高い ・携帯ゲーム機の本体とボタンが一体になったハードが広く認知されている |
Competitor (競合) | ・ソニー:プレイステーションなど ・セガ:メガドライブなど |
Company (自社) | ・マリオやポケモン、カービィなど、他社にはない人気オリジナルキャラクターが多い ・ゲーム機本体のカラーバリエーションが豊富 |
それぞれ詳しく見ていきます。
Customer(市場・顧客)
その当時、携帯用ゲーム機のゲームボーイやゲームボーイアドバンスの売れ行きが据え置き型ゲーム機に比べ好調だったことから、持ち運べるゲーム機の需要は高いと分析できます。また、据え置き型ゲーム機のコントローラーで遊ぶ方法や、携帯ゲーム機の本体とボタンが一体になったハードが広く認知されていたという点にも注目です。
Competitor(競合)
当時の競合としては、下記のような機種が挙げられます。
- ソニー:プレイステーション(1994年)、プレイステーション 2(2000年)
- セガ:メガドライブ(1988年)、セガサターン(1994年)
いずれも好調な売れ行きを示していたため、据え置き型ゲーム機のカテゴリで3社が競っている状況でした。
Company(自社)
マリオやポケモン、カービィなど、他社にはない人気オリジナルキャラクターが多いという点は重要でしょう。また、競合(ソニー、セガ)に比べ、ゲーム機本体のカラーバリエーションやその本体の形状のポップさで任天堂は一線を画していました。
3C分析結果から推測するニンテンドーDSの戦略
分析結果から推測するニンテンドーDSの戦略方向は、次のとおりです。
- 画面をペンでタッチして遊ぶ、という新感覚の遊びを搭載することで真新しさを演出。
- キャラクター達を新しいシステムの遊びに投影することで、キャラクターのファンも取り込む
- 斬新さや操作性の単純さ
- 大人から子供まで幅広い年代に好まれるソフトラインナップで、競合と違うブランディングを狙う
このように、3Cの分析内容から戦略を打ち出し、任天堂はニンテンドーDSの開発を進めてきたことでしょう。結果、ニンテンドーDSは競合他社との差別化や市場のニーズに応えることに成功し、華々しい成績を残したのです。
3C分析のテンプレート
3C分析で現状把握を行う際は、上記のテンプレートを参考にしてみてください。
実際はもっと情報量が多くなるかと思いますが、まずは端的にまとめてみましょう。コツは「事実のみ」を書き出していくことです。
事実のみをすべて洗い出した上で、仮説を立てていくようにしましょう。
3C分析だけでは足りない?目的に応じて行う「5C分析」とは
3C分析によってKFSを導くことができると解説しましたが、より多角的な視点で分析するために「5C分析」を用いることもあります。
- 自社(Company)
- 消費者(Consumer)
- 競合他社(Competitor)
- 中間顧客(Customer)
- 地域(Community)
ビジネスの内容によっては協力者(Collaborators)や背景(Context)などが使われます。マーケティング環境を分析する方法のひとつとして、覚えておくといいでしょう。
3C分析とは?まとめ
3C分析は3つの観点(市場・顧客、競合、自社)から営業・マーケティングの分析を行う手法です。企業がマーケティングを考えるうえで非常に重要な分析方法となります。
最初は複雑なようにも思えるかもしれませんが、自社を取り巻く環境や自社の強み・弱みなどを明確にできるので、この機会に考え方や活用方法を覚えておきましょう。
また、間違えやすいSWOT分析・PEST分析・PPM分析については、以下の記事で企業の事例をもとに解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
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