サブスクリプションビジネスやSaaSの解約を阻止する上で、重要となるのがトークスクリプトです。
トークスクリプトとは、コールセンターにおいて顧客の課題を解決するために事前に作成する台本のことをいいます。
- どのようなスクリプトを用意すればいいかわからない
- トークスクリプトを用意しても、解約率が改善しない
- サブスクリプションビジネスやSaaS用のトークスクリプトを知りたい
カスタマーサクセス担当者やカスタマーサポート担当者は、上記のような悩みを持つ方も多いのではないでしょうか。本記事では、解約阻止のための営業トーク、解約理由別のトークスクリプトの作り方について解説します。
解約阻止の重要性
解約阻止の重要性を2つ紹介します。
LTVの改善
解約を阻止できると、当然のことながらLTVが改善します。LTV(ライフタイムバリュー)とは、顧客1人当たりから生み出される収益です。
例えば、1万円の商品を1回購入した顧客と、1,000円の商品を20回購入していた顧客では、後者の方がLTVが高いと判断します。
LTVの計算式は複数あり、サブスクリプションサービスの計算式は「LTV=購入単価×粗利率×解約率」です。
つまり解約を阻止すると、単価の低い商品であっても顧客1人から生み出される収益は大きくなります。一方で解約を阻止できないと、単価の高い商品を扱っていてもLTVは高まりません。
▼LTVについて詳しくは以下の記事で解説しています
利益率の向上
解約を阻止すると、利益率が向上します。なぜなら新規顧客を獲得するコストは、既存顧客獲得の5倍以上かかるからです。この考え方を「1:5の法則」といいます。
新規顧客を獲得するためには、下記の費用が必要です。
- 広告費用
- メール・セミナーと言ったナーチャリング費用
そのため売上の内訳が新規顧客によるものが大きいと、利益率が低くなります。
また解約率を5%改善すると、利益が25%改善する「5:25の法則」もあります。先述したように新規顧客獲得には多くの費用が必要です。
一方で既存顧客を維持する費用は、新規顧客を獲得する費用に比べ少なくなります。かかる費用の少なさから、解約を阻止すると利益率が向上します。
▼既存顧客を維持するリテンションの考え方についてまとめています
▼利益率の考え方についてもおさらいしておきましょう
よくある解約理由4選
サブスクリプションサービスでよく使われる解約理由を4つ紹介します。
- 効果を感じられない
- 予算がない
- 商品が余る
- 他社への乗り換え
効果を感じられない
購入者がサービスの効果を感じられないと解約されやすいです。BtoB向けの製品では、業務効率化システムや顧客管理ツールが該当します。
・1か月使ってみたが、業務効率が向上しているとは思えない ・エクセルと併用しており、どっちつかずの状態になっている |
上記のような解約理由のポイントは、購入者が正しい知識をもって利用していたかという点です。
一般的に業務効率化システムのような業務フローを変更する製品は、短期間での効果を見込めません。また顧客が製品を正しく利用していないケースも考えられます。
顧客管理ツールを例に説明します。情報を蓄積するのに、ツールとエクセルの2つを併用しているため、情報がツールに集約されずいつまでたっても使い勝手が良くならないケースです。
短期間で効果を求めている、製品を正しく使えていないと効果が出ないのは当然です。「効果が感じられない」という解約理由を聞いた際は、ヒアリングを丁寧に行いましょう。
予算がない
購入者に継続するための予算がないことも解約の理由です。
サブスクリプションサービスの多くが、初月無料や割引料金を設定して集客しています。特別価格でサービス提供すると、通常料金に戻ったときに解約を望む顧客が増えるケースもあります。
上記の戦略は、一定程度の解約を見込んでいるため問題はありません。しかし想定以上に解約される場合には、料金設定やサービス内容に問題がある可能性が高いです。
ただし、顧客が「業務の効率化ができている」といった効果を実感しているケースでは、ダウンセルの提案をおこないましょう。ダウンセルとは、予算の少ない顧客に合わせて、機能が制限されているサービスを提供することです。
ダウンセルの提案により当初より売り上げは低下します。しかし顧客との関係は続くため、予算が増えたというタイミングでアップセルの提案を行えるでしょう。
「予算がない」と解約の申し出があっても、ダウンセルなど新たな提案を行い、顧客との関係を継続できないか探ってみましょう。
▼アップセル・ダウンセルの考え方についてさらに詳しく解説します
商品が余る
商品が使い切れず、困ってしまうことも解約理由の1つです。「商品が余る理由」としては以下の2つが考えられます。
・顧客の想定より使用量が少ない ・決められた量を消費していない |
想定より使用量が少ないときは、以下3つを提案してみましょう。
- 配送期間を伸ばすプラン
- 次回配送スキップできる仕組み
- 配送を一時中断する
薬の使用量に応じて柔軟に配送パターンを決められると、解約阻止をできる可能性が高まります。
また決められた量を使用していない顧客には、決められた量の使用を促しましょう。規定の量を使用していないならば商品が余るのは当然です。さらに使用量が少なければ効果を実感できない可能性も高いです。
「商品が余る」という解約理由はヒアリングが肝になります。状況をヒアリングして提案内容を変更しましょう。
他社へ乗り換え
他社製品での乗り換えも解約理由になります。他社製品に乗り換える顧客に対しては、「なぜ製品に乗り換えるのか」を丁寧にヒアリングしましょう。
よく挙げられる理由は下記の2つです。
・他社製品の方が品質が良い ・他社製品の方が安い |
他社製品の方が品質が良いと伝えられたケースでは、上位プランの紹介がおすすめです。上位プランに移行すると、これまで蓄積されたデータをそのまま利用できるため、他社製品に移行する手間がかかりません。
また他社製品の方が安いと伝えられたケースでは、なぜ商品が高いのか理由を説明しましょう。機能が充実している、1度に使用できる人数が多いなどの理由が該当します。
顧客によっては値段だけを見て、他社製品への移行を考えている場合があります。他社製品に移行すると、考えられるデメリットを説明することも重要です。
ただし他社製品を貶める発言は避けましょう。他社製品の悪いところを言うと、顧客からの信頼を失います。あくまでも客観的事実を伝えるのが重要です。
解約阻止のための営業トーク・トークスクリプト例
最後に、解約阻止に使える営業トークを段階別に紹介します。想定している解約理由は「サービス・商品の効果を感じられない」です。
1.解約理由をヒアリングする
顧客から解約の申し出があった場合、すぐに手続きを進めるのではなく、解約理由のヒアリングを行いましょう。解約理由によっては、継続につながる可能性があります。
また最終的に解約となったとしても、商品やサービスの改善点が分かるため必ず確認しましょう
「差し支えなければ、ご解約の理由を教えていただけないでしょうか?」 「恐れ入りますが、解約の理由をお聞かせください。」 |
2.解約理由の解決策を説明する
顧客の解約理由の解決策を説明しましょう。例えば前述したように「効果が感じられない」と考えている顧客には、以下の説明を行います。
「効果が出るまでの期間は一般的に6か月のことが多く、あと2か月はご利用してご判断いただけないでしょうか。もちろんサポートさせていただくのでご安心ください」 |
解約理由の解決策を示し、解約以外の選択肢を提示しましょう。
3.使用していない機能を説明する
顧客が使用していない機能を説明するのも、解約阻止の方法としては有効です。顧客によっては、サービスの機能を使い切れていません。
そのため、顧客の課題を解決できる機能があるにもかかわらず解約を考えている場合には、顧客に正しい情報を伝えましょう。
「成果の出ている企業様は、○○というやり方を実践されているのでご紹介させてください」 「業務効率が改善されていないとのことですが、〇〇の機能はご存知でしょうか?」 |
4.他社事例を伝える
解約希望の理由が「効果が感じられない」だった場合は、使用していない機能に加えて、他社の成功事例も伝えましょう。
「他社様の事例ですと、△△の使い方をしたら残業時間が20%減ったというデータもありますよ」 |
解約によってできなくなることを伝える
顧客の解約の意志が固い場合は、サービスを解約するとできなくなることを説明しましょう。
「ご解約されますと、◯月以降はシステムの機能が一切使用できなくなります」 |
あくまで事実を伝えるのみで、解約を引き伸ばすのはやめましょう。引き延ばし行為は顧客からの印象が悪くなるため、再契約になる可能性をなくしてしまうからです。
まとめ
解約を阻止するのは難しいこともありますが、あらかじめトークスクリプトを用意しておくことで、落ち着いて不満点のヒアリングや改善提案を行うこともできます。
そのためにも徹底してヒアリングを行い、自社サービスを分析できる体制作りが重要になります。
用語解説
チャーンレート とは?
チャーンレートとは、英語で「Churn Rate」と表記され、解約率という意味です。
すべての顧客のうち、解約した顧客の割合を示す指標で、「顧客離脱率」「退会率」などと言われることもあります。
チャーンンレートには「カスタマーチャーンレート」と「レベニューチャーンレート」の2種類があり、一般的にはカスタマーチャーンレートが用いられています。
カスタマーチャーンレートとは、顧客数を基準に算出するもので、一定期間に解約した顧客や無料会員にダウングレードした顧客の割合を示しています。
レベニューチャーンレートとは、収益を基準に算出するもので、一定期間にの解約やダウングレードによって発生した損失の割合を示しています。
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