BtoBマーケティングを成功させるには、「リテンション」と「アクイジション」という考え方を知っておくことが大切です。近年では、サブスクリプション型サービスを契約する企業も増えているため、従来のような買い切り型を前提としたマーケティング手法は通用しなくなりつつあります。
そこで今回は、リテンションとアクイジションの意味や、リテンションマーケティングが注目されている理由などを詳しく解説していきます。アクイジション施策の重要性についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
リテンション・アクイジションの意味
まずは、BtoBマーケティングにおけるリテンションとアクイジしョンの意味を確認していきましょう。
リテンション/アクイジション とは?
リテンションとは既存顧客を維持するためのマーケティング手法であり、アクイジションとは新規顧客を獲得するためのマーケティング手法のことを言います。
会社の売り上げに重要なのは、「リテンション」です。
なぜなら、新規顧客を獲得するには、既存顧客から同じ売り上げを獲得する5倍のコストがかかると言われているからです。
これを「1:5の法則」と言います。
新規顧客を獲得するためには、まず会社のことを知ってもらうところから始めなくてはいけません。
しかしリテンションという考え方で既存顧客に働きかければ、売り上げを高めたり、売り上げダウンを防ぐことに繋がるのです。
例えば、解約や乗り換えを防ぐために、特典の用意やサポートを手厚くすることなどが挙げられます。
◆関連用語
リテンションが必要な理由
最近ではサブスクリプション型のビジネスの浸透によって、解約のハードルが低くなっています。そのため、既存顧客の定着を強化して他社への流失を防ぐ必要があるのです。
なお、人事の分野では、人材の維持や確保を目的とした「リテンションマネジメント」という言葉が使われています。どちらも「リテンション」であることは同じですが、目的が異なるので混同しないように注意しましょう。
アクイジションが必要な理由
アクイジションとは、リード(見込み顧客)を新規顧客に導くための施策です。リードと積極的にコミュニケーションを取りながら、自社製品に対する認識や理解も深めてもらいます。なお、BtoBにおけるアクイジション施策は、テレアポやセミナー営業などの営業活動が中心です。
ビジネス成長のフレームワーク「AARRRモデル」

リテンションとアクイジションを理解するためには、ビジネスの現状と対応方法を把握できる AARRR(アー)モデルの知識が不可欠です。
なお、「AARRR」は、顧客の行動を以下の5つに分類した頭文字の略から付けられています。
・Acquisition(アクイジション) :新規顧客を「獲得」するための施策 ・Activation(アクティベーション):獲得した顧客の利用率を高めて「活性化」を図る施策 ・Retention(リテンション):既存顧客に「継続利用」してもらうための施策 ・Referral(リファラル):製品やサービスを知人などに「紹介」してもらうための施策 ・Revenue(レベニュー):製品やサービスの「収益化」を目指す施策 |
上記を見れば、アクイジションがビジネスの初期、リテンションは事業拡張につなげる重要な段階であることがわかります。
リテンションマーケティングが注目される理由

AARRRモデルの初期段階「アクイジション」の重要性は、従来から認識されています。しかし、新規顧客を獲得するコストは、既存顧客維持にかかるコストの5倍と言われているため、アクイジションにだけ注力するのは効果的と言えません。
なお、新規顧客の獲得コストと、既存顧客維持コストの比率は「1:5の法則」としても知られています。そのため、コストを抑えて効率的にビジネスを拡大させるには、既存顧客の定着強化を図るリテンションマーケティングの展開が不可欠になるのです。
BtoBビジネスは顧客の対象が限られるため、すでに接点がある企業との継続的なコミュニケーションを図りながら、良好な関係を維持することが大変重要になります。
リテンションマーケティングのメリット
リテンションマーケティングには、主に次のようなメリットがあります。
- LTVが高まる
- 顧客の離脱を防ぎ休眠顧客を掘り起こせる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
LTVが高まる
LTV(Life Time Value)とは、顧客との取引開始から終了までに得られた利益を表す指標です。「顧客生涯価値」とも呼ばれます。
企業の存続には継続的な利益が必要ですが、その対象を新規顧客に限定するのは現実的ではありません。中長期的な業績の向上と利益の底上げするためには、リテンションマーケティングを展開して各ユーザーのLTVを高める必要があります。新たな商談の成約だけを重視していると業績が頭打ちになり、中期的なビジネスの成長が望めません。
顧客の離脱を防ぎ休眠顧客を掘り起こせる
毎月のように新製品や新サービスが登場する近年では、獲得した顧客が自社の製品やサービスを使い続けてくれるとは限りません。しかし、リテンションマーケティングを展開して既存顧客の離脱を防げば、自社製品の継続的な売上向上につながります。他社の製品やサービスへの定着を事前に防ぐことも可能です。
自社製品の購買後に休眠状態となっている顧客に対しても、リテンションマーケティングは有効です。いちどでも自社製品を利用した経験がある休眠顧客は、新たな見込み客よりも自社製品を購入してくれる可能性が高くなります。
リテンションマーケティングを成功させる方法
リテンションマーケティングの成功には、次のような施策が欠かせません。
- メルマガを配信する
- カスタマーサクセスに取り組む
- マーケティングツールを活用する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
メールマガジンを配信する
オーソドックスな手法ですが、リテンションマーケティングでは大きな成果が期待できます。製品の機能や使い方だけではなく、割引クーポンやキャンペーンなどの情報を配信すれば、既存顧客や休眠顧客の新たなアクションにつなげることも可能です。また、メールマーケティングは比較的かんたんに導入できるので、PDCAを細かく回しながら取り組むことも可能です。
カスタマーサクセスに取り組む
カスタマーサクセスとは、「顧客が自社製品を購入した目的を達成できるようにすること」です。一般的なカスタマーサポートは、顧客からの問い合わせがあった時点で初めてアクションを起こしますが、カスタマーサクセスは、顧客のアクションを検知して能動的にアプローチします。
検知すべきアクションとしては、「長期間ログインしていない」「使っていない機能がある」などが挙げられるでしょう。このようなアクションを検知した場合は、企業側から解決方法を提案して、顧客の定着強化を図ります。
「カスタマーサクセスとは?仕事内容や成功事例から、必要とされている理由について」でも詳しく解説しています。
マーケティングツールを活用する
リテンションマーケティングには、次のようなツールを活用できます。
CRM(Customer Relationship Management)
CRMは、顧客の属性や購入履歴といったデータを一元管理できるツールです。異なる部署間でも顧客の情報を共有すれば、顧客との関係維持に役立つ戦略を俯瞰的に立案できるようになります。
DMP(Data Management Platform)
DMPは、ネット上に散在している多様なデータを統合・分析できるプラットフォームです。自社で保有している顧客情報だけではなく、アクセスログや広告配信などのデータを管理・分析することで、各ユーザーに最適なアプローチが実現します。
まとめ
市場の変化とともに、マーケティングの手法も大きく変わってきています。従来の方法では業績の低下につながる恐れもあるため、リテンションやアクイジション、AARRRモデルなどに関する知識を習得して、時代に即した戦略を展開できるようにしていきましょう。