自社商品やサービスに関して、一度問い合わせをした見込み顧客や、過去に購入実績のある顧客に対して再び営業活動を行うことを追客(ついきゃく)といいます。
面識の無い新規顧客に対して行う営業よりも、追客は成約率が高いため、有効な営業手法と言えます。この記事では追客の手法とコツについて、わかりやすく解説します。
追客とは
追客(ついきゃく)とは成約を獲得するために、積極的にアプローチすることを意味しています。もともとは不動産業界で使われていた言葉です。
追客は大きくわけて「見込み顧客にアプローチする」「過去に購入実績のある顧客にアプローチする」の2つの方法があります。
ホームページから資料請求しただけ、会員登録しただけという見込み顧客(リード)でも、適切にアプローチすることで成約を獲得できる確率が上がります。
また、自社サービスや商品を購入した経験がある顧客も、ニーズが顕在化していない潜在顧客よりも成約率が高いという特徴があります。
すぐに成約には至らなくても、見込み顧客へ有益な情報を発信するなどの活動により、長期的なコミュニケーションを続けることで購買意欲を高めるという目的があります。
追客が重要な理由
では、なぜ追客という活動が営業においてそこまで重要なのでしょうか。
営業が顧客へコンタクトした際、結果的に成約とならずに、そのあと放置してしまった見込み顧客のうちの80%が、競合他社製品を2年以内に購入しているという調査結果があります。
自社サービスの購入に至らなかった見込み顧客に対して、追客を実施しなかったために機会損失となっているケースが多いのです。
したがって追客は、機会損失を防ぐことで自社の売上の向上に繋げられる重要な手法だと言えます。
追客の目的
追客の目的は、主に以下の2つがあります。
- 見込み顧客を逃さない(機会損失をしない)
- クロスセル(他の商材を成約)する
それぞれ解説します。
1.見込み顧客を逃さない(機会損失をしない)
BtoBビジネスでは、サービスや商品は高額な契約になることが多いです。そのため、競合他社との検討期間や社内の予算取りに期間を要し、商談の期間が長くなることが多いでしょう。
その間、じっと見込み顧客からの連絡を待っているだけでは、競合他社に流れてしまいますね……。
したがって、定期的に顧客へ連絡をすることで機会損失をしないようにしなければなりません。比較検討している競合他社よりも、顧客からの信頼を得て、良き相談相手になるようにしましょう。
2.クロスセル(他の商材を成約)する
長期にわたる商談で顧客からの信頼を得られるようになれば、提案中の商材とは別の商材を提案する機会も出てくるでしょう。
例えば、定期的に顧客と連絡をとるうちに、「実は、他の部署ではこんなことに課題を感じているのですが、御社でなにかサポートいただけないでしょうか」という相談を受けることもあります。
顧客側も、別の部署へ取引先を紹介するには、よほどの信頼関係がなければ成り立ちません。
役に立つ情報提供を定期的に行うなど、顧客との信頼関係を築いていくことで、クロスセルの機会を生み出すことができるのです。
追客の方法
追客には具体的にどのような手法があるのでしょうか。新規開拓営業とはまた違ったアプローチが必要になります。
BtoBビジネスの新規開拓営業の手法については、「法人営業で新規開拓するコツ!オンラインでも成功する方法を解説」の記事にわかりやすくまとめています。
ここでは、主に以下の4つの手法について解説します。
- 電話・テレマーケティング
- メール
- SNS
- オウンドメディア(ブログ・コラム)
電話・テレマーケティング
顧客の担当者へ直接電話をかけて現況をヒアリングしたり、自社の他の商品や新しいサービスを紹介したり、顧客との良好な関係を構築していく手法です。
顧客の迷惑にならない程度に定期的に電話をかけることで、タイミングによっては提案しているサービス以外についても相談を受けるケースもあるでしょう。
電話を使った追客は、メールなどのアプローチよりも顧客の声を直接聞けるため、有効な手段と言ってよいでしょう。ただし、頻繁に電話をするとイメージを悪くしてしまうこともあるため注意が必要です。
メール
メールは追客をするにはとても万能なツールです。なぜなら、仮に顧客が忙しくて電話でのアプローチが適さない顧客の場合でも、メールであれば時間と場所の制約を受けずにアプローチすることができます。
また、メルマガを自動で配信するメール配信システムやMAツールを活用すれば、顧客のそれまでの行動に応じて、自動で適切な内容のメッセージを配信してくれる機能もあるため、大幅な手間を削減できます。
展示会やセミナーの開催、クーポンやセールのお知らせなど、顧客にとって興味のある内容のメッセージを的確なタイミングでミスなく配信できます。
SNS
X(旧:Twitter)やInstagram、LINE、YouTubeなどのSNSによって顧客とコミュニケーションを図る手法です。
最近では、SNSマーケティングという言葉も使われるようになり、SNSから情報を入手することで商品を購入する顧客が増えています。それにより、企業は公式のアカウントを作成して、顧客とコミュニケーションを図ります。
例えば、化粧品の新商品の使い方が分かる動画をアップロードすることで、自社のファンを増やします。気に入った商品に関して、顧客がSNSを通じて拡散してくれることも期待できるため、SNSを活用した営業活動が注目されています。
オウンドメディア(ブログ・コラム)
オウンドメディアを運営することも追客の手法のひとつと言えます。
定期的に自社商品や同業界に関する記事を蓄積することで、顧客が定期的に自社サイトを訪問し、ファン化することで成約に繋げる機会を創出します。
商品の使用方法や、製品のメンテナンス方法、導入した顧客の成功事例を詳細に記事にすることで、顧客が導入した際のイメージが湧きやすくなるでしょう。
追客を成功させるコツ
追客は、機会損失を防ぐためには有効な手段ですが、ただやみくもに顧客へアプローチをすれば良いというものではありません。
何度も営業をかけられると、顧客もさすがに嫌気がさしてしまうからです。追客が逆効果になってしまってはいけませんね……。
ここでは、追客を成功させるためには、どのようなことに気をつければよいのか、追客のコツについて解説します。
長期的な目線で取り組む
見込み顧客が商品を購入するまでには、ある程度の期間を要します。そのため、押し売りではなく顧客の購買意欲が高まるまでタイミングをうかがうことが重要です。
自社の期末にどうしても売上が欲しいため、見込み顧客リストを上から順に電話をして「買ってください!」とお願いをしても、成約までに至るには難しいでしょう。
購入に至るまでには顧客にもタイミングや都合があるため、BANT情報を聞き出しつつ、アプローチ方法を見直してみましょう。
メールによる追客は4通以上送る
手動のメール送信による追客を実施する場合、1通のメールを送信して反応がなかったとしても、諦めずに最低でも4通はメールを送信するようにしましょう。
なぜなら、メールの返信率は、1通のみメールを送信した時よりも、4通のメールを送ったときのほうが2倍以上になるといわれているからです。
1通目のメールを受信した際は、忙しくてメールに気づかなかったというケースもあり、4通目はたまたま時間のある時に気になってメールを開封するということもあるからです。PDCAを回しながら、タイトルや送るタイミングなどを工夫してみましょう。
まとめ
追客は、自社商品に興味のある見込み顧客や導入実績のある顧客へアプローチするため、通常の新規開拓営業よりも成約率が高いことが特徴です。
効果的な手法によって追客をすることで、自社の売上の最大化が図れます。この記事をきっかけに、追客を実施することでよい方向へ進んでいただけたら幸いです。
追客 とは?
追客とは、潜在顧客を「追う」営業行為を指します。
元々は不動産業界などで重要視された営業の手法で、来店時などにフォームに記入された顧客の住所や電話番号、メールアドレスなどに対して営業をかけることを指します。
対して昨今では、不動産業界に限らず販売をマーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスに分業する考えが主体となっており、マーケティングが集めた潜在顧客(リード)へ様々な手法で営業をかけるインサイドセールスの主業務のことを指す言葉にもなっています。
追客活動を行うことの目的は、潜在顧客への長期的な接点を持つことです。
短絡的に情報を押し付け、嫌悪感を持たせるのではなく、長期的に寄り添うことで「単純接触効果」を活用し、顧客を「育てる」といった側面も持ちます。