PPM分析・3C分析・PEST分析などなど、仕事をしていると〇〇分析という言葉によく出会います。難しそう、複雑そう、と苦手意識を持つ人も多いかもしれませんね。
〇〇分析は、答えを知るための手順や法則を体系化した「ひな型」や「テンプレート」のようなもの。「フレームワーク」ともいいますね。覚えておくことで悩む時間をぐっと短縮することができます。
マーケティングにおけるフレームワークは、あらゆる視点で物事を分析することができます。マーケターでなくても知っておいて損はありません。数あるフレームワークのなかから、ビジネスの現場で役立つフレームワークを厳選して解説します。
マーケティングのフレームワークとは
フレームワークにはいくつか種類がありますが、それぞれ役割は異なります。
まずはマーケティングの基本である現状分析を行います。現状分析で用いられる分析手法が「3C分析」「4C分析」「5F分析」「SWOT分析」です。
さらに、マーケティング戦略を立案していくために「PEST分析」「4P分析」「STP分析」を行います。戦略を実施したら必ずPDCAサイクルを回して改善を重ねていきます。
それぞれのフレームワークとの関係を整理すると上の図のようになります。
フレームワーク とは?
フレームワーク(Framework)とは、直訳すると「枠組み」のことで、ある目的に対する問題解決や意思決定を簡略に行うため、必要な手順や法則をあらかじめ体系的に定めてある「ひな型」や「テンプレート」のことをいいます。
プログラミングなどではある目的に必要なコードをあらかじめまとめてある半完成品のことを指し、フレームワークの活用で作業時間の短縮が図れます。
ビジネスシーンついても同じく、各目的ごとにフレームワークが多数存在します。
事業の課題分析方法や方針決定方法、業務運用方法などは既に誰かが悩み解決したことのある問題であることが多く、先人が築いたフレームワーク(枠組み)を通して体系立てて思考・行動することで、「悩む」フェーズを省略し、効率的に最短で「解決」に結びつける事ができます。
◆関連用語
現状分析のためのフレームワーク
マーケティングにおける戦略立案のための、市場分析や自社分析に活用できるフレームワークについて解説します。
3C分析
3C分析とは、マーケティングにおける課題や戦略を導き出すためのフレームワーク。顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の3つの「C」について分析します。
3C分析の大きな目的は「KSF: Key Success Factor」すなわち「成功要因」を発見することです。市場の流れやニーズ・競合の動き・自社の強みや弱みの分析からKSFを導句ことが出来れば、事業の進むべき道が見えてくるとされています。
4C分析・5C分析
上記の3Cに、協力者(Collaborators)を加えた4C分析や、地域(Community)や流通(Channel)、中間顧客(Customer)を加えた5C分析といった発展形も考案されています。
3C分析について任天堂の事例に基づいて解説しています
5F分析
5F分析とは、ファイブフォース(Five Forces)分析と読み、「フォース」とは「脅威」を意味しています。
自社に対する脅威を「業界内の競合の脅威」「代替品の脅威」「新規参入者の脅威」「買い手の交渉力の脅威」「売り手の交渉力の脅威」の5つに分類します。さらに、それぞれを分析することで、業界の状況と収益構造を明らかにすることが目的です。
そうすることで、自社の競争優位性を明らかにしていくためのフレームワークです。
PPM分析
PPM分析とはProduct Portfolio Managementの略で、どの事業にどのぐらいの資金を分配するかを検討するためのフレームワークのことをいいます。
市場の成長率と市場の占有率を主たる2軸として設定し、座標に対して事業・製品・サービスを的確に分類することにより、経営資源に関する投資配分が判断できるというものです。
PPM分析では、自社事業を花形(Star)・金のなる木(Cash Cow)・問題児(Problem Child)・負け犬(Dog)の4つのポジションに分けて分析します。そうすることで、自社事業の将来性を確認することができ、競合他社との売上格差を数値化します。
任天堂など有名企業の事例をもとにPPM分析について解説しています
SWOT分析
SWOT分析とは、事業などに関わるプラス要因とマイナス要因とを、それぞれ外部と内部の環境の分析から割り出し、現状把握を行うためのフレームワークです。
具体的には、事業を取り巻く強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)の4つの要因を分析します。このうち、強みと弱みは内部環境となり、機会と脅威は外部環境を示します。
内的環境はサービス・品質などある程度コントロールが効きますが、外的環境はマクロ経済や市場状況などコントロールができません。
SWOT分析を行うことで、内的な強みを伸ばして、弱みはできるだけ縮小させる、また脅威はできるだけ避ける、などと内外で対策を練ることができます。目標達成のためには欠かせないフレームワークです。
SWOT分析について詳しくは以下の記事で説明しています
マーケティング戦略立案のためのフレームワーク
時代の変化や市場の変化を見極めて、マーケティング戦略を立案するためのフレームワークについて解説します。
PEST分析
PEST分析とは、自社を取り巻くマクロな外部環境とそれらが自社へ与える影響を考察するための分析方法のひとつです。
外部環境はミクロ環境とマクロ環境に分けられ、そのうちマクロ環境は自社でコントロールができないものとされます。
PEST分析では、具体的にPolitics(政治的要因)、Economy(経済的要因)、Society(社会的要因)、Technology(技術的要因)の4つがマクロな環境要因として分析され、変化するそれらの環境の中で、自社事業の位置付けを確認したり戦略の方向性を練るために使われます。
PEST分析について詳しくは以下の記事で説明しています
STP分析
STP分析とは、マーケティング戦略の立案で使われるフレームワークです。
市場を細分化する(Segmentation)、狙う市場を決める(Targeting)、自分の立ち位置を決める(Positioning)の頭文字を取ったもので、競合他社がいないポジションや差別化できるポイントをスムーズに見つけることができます。
STP分析について詳しくは以下の記事で説明しています
4P分析
4P分析の4Pとは、Product(製品・サービス)、Price(価格)、Place(販売場所・提供方法)、Promotion(販促活動)を指しています。
具体的には、どのような製品・サービス(Product)をいくら(Price)で、どのように提供する(Place)のか、どのように販促(Promotion)するのかを整理して、マーケティング施策へと落とし込んでいきます。
例えば、SWOT分析や3C分析で市場を分析し、STP分析でマーケティング戦略を立案し、さらに4P分析でマーケティング施策を立案するという流れで活用できます。
改善のためのフレームワーク
マーケティング戦略やマーケティング施策は、なるべくたくさん実行してより良くしていくことが大切です。改善のためのフレームワークも覚えておきましょう。
SMART
SMARTとは目標設定のためのフレームワークです。目標設定の要素である、以下の項目の頭文字を取って、SMARTの法則と呼ばれています。
- Specific…具体的であるか
- Measurable…測定可能であるか
- Achievable…達成可能であるか
- Relevant…組織目標と関連性があるか
- Time-bound…期限が定められてるか
次に説明するPDCAサイクルのPlanを決めるときは、SMARTの法則に則っているかを確認するようにしましょう。
SMARTの法則について詳しくは以下の記事で解説しています
PDCA
PDCAとは、Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)の頭文字を取ったもので、継続的に改善を行うためのフレームワークです。サイクル的に繰り返すことから「PDCAサイクル」「PDCAを回す」とも呼ばれます。
近年では、Observe(観察)→Orient(状況判断)→Decide(意思決定)→Action(行動)の4つのステップの頭文字を取ったOODA(ウーダ)ループも注目されています。
PDCAサイクルとOODAループの違いについては以下の記事で解説しています
まとめ
フレームワークを活用することで、現状分析からマーケティング戦略立案までを素早く行うことができます。さらに高速でPDCAサイクルを回して改善していくことも大切です。
より良いマーケティング戦略を立てるために、ぜひフレームワークを活用してみましょう!
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