東京証券取引所は、東証プライム、東証スタンダード、東証グロースの3つの新市場区分に再編されました。この記事では、各市場区分の特徴や企業リストの入手方法について詳しく解説します。
従来の東証一部、東証二部、東証JASDAQ(スタンダード・グロース)、東証マザーズの5つの市場から、「プライム」「スタンダード」「グロース」の3つの新市場に再編されたことで、投資家にとってより分かりやすい市場構成となりました。
東証再編の基礎知識をわかりやすくまとめるとともに、新市場区分ごとの企業一覧リストを入手する方法も解説します。東証プライム企業や東証スタンダード企業、東証グロース企業の情報を効率的に収集したい方にとって、有用な情報となるでしょう。
各市場区分の特徴や上場基準、そして企業リストの活用方法について、詳しく見ていきましょう。東証再編後の新しい市場構造を理解することで、投資判断や企業分析に役立つ知識を得ることができます。
※この記事は2022年4月4日に公開したものを再編集しています
東証プライムは1624社

東証新市場の最上位である「プライム」は1624社が上場しています(※2025年6月現在)。東証プライム企業リストは、日本を代表する大企業が名を連ねる一覧となっています。
東証一部企業が2,185社だったのと比べると、プライム上場の企業が減っていることがわかります。「プライム落ち」と表現されることもありますが、メリットがなければあえてスタンダード市場を選択するケースもあります。東証プライム企業リストに載る企業数が減少した背景には、厳格化された上場基準があります。
東証プライム企業リストに掲載されるためには、流通株式時価総額や流通株式比率などの条件を満たす必要があります。これらの基準は、以前の東証一部上場基準よりも厳しくなっています。そのため、東証プライム企業リストは、より高い基準をクリアした企業で構成されているといえます。
東証プライム企業リストに掲載される企業は、グローバル投資家からの投資を想定した機関投資家向けの市場に属しています。このため、東証プライム企業リストに名を連ねる企業には、より高度なガバナンスや情報開示が求められます。
投資家や金融機関、ビジネスパーソンにとって、東証プライム企業リストは重要な参考資料となります。東証プライム企業リストを活用することで、日本経済を牽引する企業の動向を把握し、投資判断や取引先の選定に役立てることができます。
東証プライム企業リストは定期的に更新されるため、最新の情報を確認することが重要です。企業の経営状況や市場環境の変化により、東証プライム企業リストからの除外や新規追加が行われる可能性があるためです。
東証プライムへの上場条件
東証プライム市場への新規上場基準は以下の通りです。東証プライム企業リストに名を連ねるためには、厳格な条件をクリアする必要があります。
東証一部企業がそのまま東証プライム市場へ移行するわけではなく、新たに設けられた新規上場基準を満たさない場合、東証プライム市場を選択しない場合はスタンダード市場へ移行します。
【流動性】
- 流通株式時価総額:100億円以上
- 流通株式比率:35%以上
- 流通株式数:20,000単位以上
- 1日平均売買代金:0.2億円以上
【ガバナンス】
- 独立社外取締役:全取締役の1/3以上(最低2名)
- 英文開示:必須
【経営成績】
- 利益額:直前2年間の利益 合計25億円以上
- 時価総額:400億円以上
- 純資産:50億円以上
東証プライムには「世界経済をリードしてゆく企業」というコンセプトがあり、これまでの東証一部への上場基準より条件が厳しくなっています。東証プライム企業リストに掲載される企業は、グローバル基準で評価される高い競争力を持つことが求められます。
また、「経過措置」を利用してプライム市場に上場している企業もあり、一定期間が過ぎるとスタンダード市場へ移行する場合もあります。(経過措置は2025年3月に終了)
東証プライム企業リストは定期的に更新されるため、投資家や企業関係者は最新の情報を確認することが重要です。東証プライム企業は、日本を代表する優良企業として注目されることから、上場維持のための継続的な努力が求められます。
東証一部と東証プライムの違い

東証一部と東証プライムの違いを理解することは、東証プライム企業リストを効果的に活用する上で重要です。両者の新規上場基準を比較すると、東証プライム市場の厳格さが際立ちます。
最も顕著な違いは「流通株式時価総額」の基準です。東証一部では10億円だったものが、東証プライムでは100億円に引き上げられました。この10倍の差は、東証プライム市場が目指す「世界経済をリードする企業」というコンセプトを反映しています。
収益面でも基準が厳しくなっています。最近2年間の利益合計が東証一部の5億円以上から、東証プライムでは25億円以上に引き上げられました。これは企業の安定性と成長性を重視する姿勢の表れといえるでしょう。
財務基盤についても、純資産額の基準が東証一部の10億円以上から東証プライムでは50億円以上に引き上げられています。この厳格化により、東証プライム企業リストに掲載される企業は、より堅固な財務体質を持つことが求められます。
さらに、東証プライム市場では英語での情報開示や気候変動対策への対応など、グローバルスタンダードに沿った取り組みも要求されます。これらの基準は、東証プライム企業リストに掲載される企業の質を保証する役割を果たしています。
このように、東証一部と東証プライムの違いは単なる名称変更ではなく、上場基準の大幅な引き上げを伴うものです。東証プライム企業リストを活用する際は、これらの厳格な基準を念頭に置くことで、より効果的な分析や戦略立案が可能となるでしょう。
東証プライムでは上場維持基準が厳格化
今回の東証再編で注目すべき点は、新規上場基準に加えて「上場維持基準」も厳格化されたことです。東証プライム企業リストに掲載され続けるためには、より高い基準を満たし続ける必要があります。
例えば、流通株式時価総額の上場維持基準は新規上場時と同じ100億円以上となっています。これは東証一部の場合と比較すると大きな変更点です。東証一部では新規上場時は10億円以上でしたが、上場後は5億円未満になるまでは上場廃止されませんでした。東証プライム企業リストに掲載されるためには、常に高い時価総額を維持することが求められます。
流通株式比率についても上場維持基準は新規上場時と同じ35%以上となります。東証一部では上場後は5%を下回らない限り上場廃止はされなかったので、東証プライム企業リストに掲載される企業にとっては、かなり厳しい条件に変更されているといえます。
さらに、東証プライム企業リストに掲載される企業には、英語での情報開示や気候変動対策への対応など、世界経済をリードする企業としての資質が求められています。これらの要件を満たすことで、東証プライム企業リストに掲載され続けることができます。
このように、東証プライム企業リストに掲載される企業は、常に高い基準を満たし続ける必要があります。これにより、東証プライム市場の質を高め、国内外の投資家からの信頼を得ることが期待されています。東証プライム企業リストは、日本を代表する優良企業のリストとして、今後ますます注目を集めることでしょう。
東証プライム企業一覧リストの入手方法
東証プライム市場の企業一覧リストは、東京証券取引所の公式ホームページから簡単にダウンロードすることができます。エクセル形式のリストが提供されているので、手持ちのハウスリストを更新する際にも非常に便利です。
このエクセルデータには、各企業の証券コード、銘柄名(企業名)に加えて、旧市場区分と新市場区分も記載されています。エクセルの標準機能であるフィルタ機能を使用すれば、「プライム」「スタンダード」「グロース」の市場区分別に企業一覧を簡単に確認することができます。
さらに、このリストを活用すれば、東証プライムに移行しなかった企業、いわゆる「プライム落ち」した企業の一覧リストも作成可能です。これにより、市場再編による企業の動向を詳細に分析することができます。
東証プライム企業リストは、投資家だけでなく、ビジネスパーソンにとっても重要な情報源となります。例えば、BtoB営業やマーケティング戦略を立てる際に、ターゲット企業を絞り込む基準として活用できます。また、企業分析や業界動向の調査にも役立つでしょう。
定期的に最新の東証プライム企業リストをチェックすることで、日本の主要企業の動向を把握し、ビジネスチャンスを逃さないようにすることができます。特に、新規上場企業や市場変更企業の情報は、ビジネス戦略を立てる上で貴重な情報となるでしょう。
このように、東証プライム企業一覧リストは、ビジネスにおける様々な場面で活用できる重要なツールです。常に最新の情報を入手し、効果的に活用することで、ビジネスの成功につなげることができるでしょう。
東証スタンダード市場への新規上場基準
東証スタンダード市場への新規上場基準は以下の通りです。東証スタンダード市場のコンセプトは「日本経済の中核を成してゆく企業」です。旧市場の東証二部、JASDAQスタンダード企業が移行します。
【流動性】
- 流通株式時価総額:10億円以上
- 流通株式比率:25%以上
- 流通株式数:2,000単位以上
- 株主数:400人以上
【ガバナンス】
- 独立社外取締役:2名以上の選任
- 流通株式の定義厳格化
【経営成績】
- 利益:最近2年間の経常利益の合計が正であること
- 純資産:正の値であること
東証スタンダード市場は、東証プライム市場ほど厳しくはありませんが、一定の基準を満たす必要があります。企業リストを確認する際は、東証プライム企業リストと合わせて東証スタンダード企業リストも参照することが重要です。新規上場を目指す企業にとっては、まずスタンダード市場への上場を目指し、その後プライム市場を目指すという段階的なアプローチも考えられます。
なお、東証スタンダード市場に上場している企業の中には、将来的に東証プライム市場への移行を目指している企業も存在します。そのため、投資家や企業分析を行う際には、東証スタンダード企業リストも注目に値する重要な情報源となります。
東証グロース市場への新規上場基準
東証グロース市場の新規上場基準は以下の通りです。東証グロース市場のコンセプトは「新たな挑戦を重ねてゆく企業」です。旧市場のJASDAQグロース、マザーズ企業が移行します。成長性の高い企業が集まる市場として注目されています。
【流動性】
- 流通株式時価総額:5億円以上
- 流通株式比率:25%以上
- 株主数:150人以上
- 売買単位:100株
【ガバナンス】
- 独立社外取締役:1名以上
- 流通株式の定義厳格化
【経営成績】
- 時価総額:制限なし
- 純資産:制限なし
- 利益:制限なし
東証グロース市場は、東証プライム企業リストには含まれない成長企業向けの市場です。新規上場基準は比較的緩やかに設定されており、ベンチャー企業や新興企業が上場しやすい環境となっています。
東証プライム企業リストに掲載されている大企業と比べ、東証グロース市場の企業は規模は小さいものの、高い成長性を秘めた企業が多く存在します。投資家にとっては、将来の東証プライム企業リスト入りを狙う企業を早期に発掘できる可能性があります。
ただし、東証グロース市場の企業は、東証プライム企業リストに掲載されている企業と比べてリスクが高い傾向にあります。投資を検討する際は、企業の成長性と同時にリスク管理にも十分注意を払う必要があります。
東証プライム企業リストに掲載されている企業と東証グロース市場の企業を比較すると、企業規模や経営の安定性に大きな違いがあります。しかし、両市場とも日本経済の発展に重要な役割を果たしており、それぞれの特性を理解することが投資戦略を立てる上で重要です。
東証プライムの誕生で、株価は上がる?

今回の東証再編は約60年ぶりの大きな動きです。東証再編が必要となった背景には、「各市場の役割が曖昧」「一部上場企業の質が低下している」という問題があり、これらが海外の投資マネーを呼び込みづらくしていました。
まず、東証二部、JASDAQ、マザーズの各市場の違いが不明確で、外国人投資家はもちろん、日本国内の投資家にとっても複雑な構造でした。今回の市場再編では「プライム」「スタンダード」「グロース」の上場基準、上場維持基準を厳格化し、国内外の投資マネーを呼び込むことを目指しています。
また、東証一部企業が増えすぎていたことも再編の理由の一つです。東証に上場する3775社のうち2183社が東証一部に上場しており、全体の6割の企業が集中していました。これは世界的に見ても異例の状況で、市場の質の低下を招く原因となっていたのです。
実際、東証再編後のプライム市場の平均時価総額は3843億円となり、約17%増加しました。しかし、「あまり変化がない」という意見も多く、再編の狙いが十分に実現されているとは言えない状況です。4月4日以降の株価の動きに注目が集まっています。
東証プライム企業にとっては、より厳しい基準を満たすことで投資家からの信頼を得られる可能性があります。一方で、上場維持基準を満たせない企業はプライム落ちのリスクがあります。投資家は各企業の財務状況や成長性を慎重に見極める必要があるでしょう。
東証再編の影響は株価だけでなく、企業の経営戦略にも及ぶ可能性があります。プライム市場に上場する企業は、グローバル基準の経営やESG対応を求められるため、これらの取り組みが進むことで企業価値の向上につながる可能性もあります。
今後の株価動向や企業の対応を注視しつつ、東証再編が日本の証券市場にどのような影響を与えるか、長期的な視点で見守っていく必要があります。
以下の記事では、名証(めいしょう)こと名古屋証券取引所の再編についても紹介しています。
まとめ
東証再編の動きは投資家だけでなく、 営業 や マーケティング 、 カスタマーサクセス に携わるビジネスパーソンにとっても重要な情報です。特に、東証プライム企業リストは、BtoB戦略を立てる際に大変有用なツールとなります。
東証プライム、スタンダード、グロースの各市場区分における企業一覧リストは、常に最新のものを入手しておくことが重要です。これらのリストを活用することで、ターゲット企業の絞り込みや、市場動向の分析がより効果的に行えるでしょう。
東証プライム企業は、世界経済をリードする潜在力を持つ企業群として位置付けられています。これらの企業との取引や提携を目指す場合、東証プライム企業リストを参照することで、適切なアプローチ方法を検討できます。
また、東証プライム市場に上場している企業は、高い流動性や厳格なガバナンス基準を満たしているため、取引先としての信頼性も高いといえるでしょう。
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最後に、東証プライム企業リストを含む市場区分情報は、ビジネスの様々な場面で活用できる重要なデータです。常に最新の情報を入手し、自社のビジネス戦略に反映させることで、競争力の向上につながるでしょう。東証再編の影響を十分に理解し、新たなビジネスチャンスを見逃さないよう、積極的に情報収集と分析を行うことをおすすめします。
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