取引先がある日、上場廃止を発表したらどうなるのかを想像したことはありますか?
上場するには証券取引所の厳しい基準があるため、そのようなことは稀だと思っているかもしれません。しかし、上場廃止になると場合によっては、取引量の減少や債権未回収などのリスクがあります。
そこで今回は、基礎知識に加えて、取引先が上場廃止になった場合のリスクと対応策を紹介します。
上場廃止とは?
上場維持基準 | プライム市場 | スタンダード市場 | グロース市場 |
---|---|---|---|
株主数 | 800 人以上 | 400 人以上 | 150 人以上 |
流通株式 | 流通株式数 2万単位以上 流通株式時価総額 100億円以上 流通株式比率 35%以上 | 流通株式数 2,000単位以上 流通株式時価総額 10億円以上 流通株式比率 25%以上 | 流通株式数 1,000単位以上 流通株式時価総額 5億円以上 流通株式比率 25%以上 |
売買代金/売買高 | 1日平均売買代金が0.2億円以上 | 月平均売買高が10単位以上 | 月平均売買高が10単位以上 |
時価総額 | – | – | 40億円以上 (上場10年経過後から適用) |
純資産の額 | 純資産の額が正であること | 純資産の額が正であること | 純資産の額が正であること |
上場廃止とは、証券取引所に上場している企業の株式が市場で売買できなくなることを指します。一定の基準に満たなくなった企業の株式の取引が停止されます。
上場廃止と倒産の違い
上場廃止と聞くと「倒産」をイメージする方もいるかもしれませんが、上場廃止=倒産ではありません。倒産は企業の資金繰りが悪化して、経済活動を継続できなくなった状態です。一方、上場廃止は理由によって、廃止後も経済活動を継続できます。
▼倒産について詳しく解説しています
上場廃止になる理由
上場企業が自主的に株式市場から撤退する場合や、強制的に退場となる場合に上場廃止となります。その主な理由は以下の3つです。
- 倒産
- 上場廃止基準に該当
- 経営戦略
上場廃止になる理由をわかりやすく解説します。
倒産
上場企業が倒産した場合、経済活動ができないので強制的に上場廃止となります。倒産は上場廃止の1つの理由ではあるものの、実際にはそれほど多くありません。
株式会社帝国データバンクの調査によると、2023年に倒産を理由に上場廃止した企業は1件のみでした。
参考:PR TIMES「2023年の上場企業倒産は1件 コロナ禍以降4件目、「不祥事後の倒産」が続く」
上場廃止基準に該当
証券取引所では上場廃止基準が設けられており、基準に該当すると強制的に上場廃止されます。上場廃止基準は投資家を守るために、日本取引所グループが定めています。
主な基準項目は以下のとおりです。
- 上場維持基準への不適合
- 有価証券報告書等の提出遅延
- 虚偽記載又は不適正意見等
- 特別注意銘柄等
- 上場契約違反等
- その他(銀行取引の停止、完全子会社化など)
例えば、流通株式数や流通株式時価総額が上場市場の基準に満たない場合、1年もしくは6カ月の経過措置期間内に基準を満たす必要があります。
また、上場廃止基準は破産手続や再生手続、事業活動の停止なども含むため、破産した場合も上場廃止基準に該当します。
▼上場基準と上場維持基準について解説しています
経営戦略
上場企業は、経営戦略の施策として上場廃止を選択する場合があります。
証券取引所に株式を上場するメリットは、投資家から資金を調達できることです。資金が増えることで、安定した経営や積極的な事業展開がしやすくなります。
一方、上場にはデメリットもあります。株主からの反対意見による経営計画の阻害や、他企業が株式を買い占める敵対的買収などです。これらのデメリットの対策として有効な施策が上場廃止です。
また、上場を維持するには経営状況を公開する必要があるため、資料作成などに費用や手間が発生します。この上場維持費用を削減できるのも上場廃止を選択する要因となっています。
▼M&Aについて詳しく解説しています
取引先が上場廃止になったらどうなる?
取引先が上場廃止になった場合、まずは理由を確認することが大切です。理由によっては、その後の手続きや取引上のリスクが変わるためです。
例えば倒産の場合は、未納品の生産や出荷を停止するなどの対応や、債権回収の手続きが必要になるでしょう。上場廃止後に経済活動を継続する場合でも、2つの悪影響が考えられます。
ブランドイメージの低下による売上低迷
上場廃止の悪影響は、一般消費者のブランドイメージの低下です。上場廃止によりブランドイメージが低下すると、一般消費者から同社製品が敬遠されるため、売上が減少して経営状況が不安定になる恐れがあります。
資金調達方法が制限されることによる資金繰りの悪化
上場廃止の悪影響は、資金調達方法が制限されることです。非上場企業は株式市場から資金を調達できないため、多くの企業では金融機関の融資に頼ることになります。
しかし、上場廃止に加えて売上の減少などが重なると、企業の信用力が低下して金融機関から融資を拒否されるかもしれません。そのため、取引先が上場廃止すると資金繰りが悪化するリスクがあります。
取引先が上場廃止になった場合の対応策
取引先が上場廃止になると、取引量の減少や債権未回収のリスクが高まります。リスクを抑えるためにできる対応策は以下の2つです。
対策1:複数の取引先を確保する
取引量が減少するリスクへの対応策は、複数の取引先を確保することです。
上場企業の場合は、知名度や信頼性が高いため、取引先を集中することで生産コストや流通コストを抑えられます。しかし、非上場企業になると、経営状況の悪化により取引量が激減する可能性もゼロではありません。
そこで、連鎖的に自社の経営が悪化するのを防ぐために、複数の企業と取引を行うことが有効です。1社の取引量が激減しても、ダメージを抑えられるためです。
対策2:与信管理を徹底する
取引先が上場廃止になった場合、経営状況が不安定になり、資金繰りが悪化する可能性もあります。債権未回収リスクへの対策として、与信管理の徹底が有効です。
与信とは、取引先の支払い能力を調査したうえで、販売額に限度を設けたり、取引の可否を判断したりすることです。与信管理を徹底することで、リスクの早期発見と低減が可能になります。また、リスクが高いと判断した取引先には、先払いを求めるといった対応策も有効です。
取引先の効果的なリスク管理方法
取引先の効果的なリスク管理には、与信管理システムの導入が有効です。与信管理システムを導入することで、取引先情報の一元管理や取引先の信用格付けなどができるためです。
また、これらの情報を自動でモニタリングして変動があるとアラートで知らせてくれるため、リスクの早期発見にも役立ちます。
従来の与信調査は、取引先にヒアリングして現状を把握する方法が一般的でした。しかし、この方法の欠点は時間がかかるうえに、判断基準が曖昧になりやすいことです。与信管理システムはこの欠点を解消し、リスク管理を効率化できるので業務負担も軽減できます。
取引先が上場廃止になったらリスク管理を強化しよう
取引先が上場廃止になると、取引量の減少や債権未回収といったリスクが高まります。そこで、有効な対策は複数の取引先を確保することと、与信管理を徹底することです。連鎖的に経営状況が悪化するのを防ぐために、取引先が上場廃止になったらリスク管理を強化しましょう。
【PR】新規開拓に使える営業リストが無料ダウンロードできる「Akalaリスト」
Akalaリストとは、絞り込み条件を選ぶだけで、ニーズにマッチした企業を抽出できる「営業リスト作成ツール」です。
絞り込み条件を選ぶだけで、最短30秒で営業リストが作成でき、さくっとダウンロード可能。CSVファイル形式なのでエクセルやGoogleスプレッドシートで開け、そのままSFAやCRMにアップロードすることもできます。
もちろん、営業リストの鮮度と精度にもこだわっています。
各企業のIR情報や官公庁の統計資料などの一般公開されている情報はもちろん、日本国内の500万を超える法人データを収集し、高い精度で連絡先のクレンジング・名寄せ処理を行っています。
テレアポ・FAXDM・郵送DM・フォーム営業がすぐにはじめられるAkalaリスト。ムダのない営業活動をサポートします。
いまなら毎月300件無料ダウンロードできる!
いまなら会員登録するだけで毎月300件の営業リストが無料ダウンロードできます!
有料プランへの切り替え手続きをしない限り、料金を請求することはございません。無料プランは電話番号もクレジットカードの登録も不要なのでご安心ください。
▼詳しくはこちらから