「決算書」と聞いて、どんなイメージを持ちますか? 「数字がずらりと並んでいて難しそう」「自分には関係ない…」そう思っていませんか?
決算書は企業の「健康診断書」とも言われ、会社の活動や業績、財務状態を知る上で非常に重要な情報が盛り込まれています。
特に、日頃から企業と接し、売上を牽引する営業こそ決算書に関する知識が求められます。この記事では、決算書の読み方がわからない方にに向けて、たった5つのステップで決算書から必要な情報を読み解く方法を解説していきます。
決算書とは?
決算書とは、企業の財務状況や経営成績を示す財務報告書のことを指します。
通常、決算書は1年間(決算から決算までの1会計期間)の財務活動を総括し、株主や投資家、取引先などの ステークホルダー に対して企業の財務の透明性を示すものです。
例えるなら、会社の健康診断書であり、成績表とも言えます。
- 経営が健全かどうか
- しっかりと利益が出ているか
- お金の流れに問題はないか
などを客観的に把握することができます。
そして、この決算書は、企業と関わる様々な人たちにとって重要な情報源となります。
投資家:投資判断材料 金融機関:融資判断材料 取引先:取引の継続・中止の判断材料 従業員:会社の経営状況を把握 |
このように、決算書は企業の 「今」を知ることができる重要な情報源なのです。
▼決算について詳しく解説している記事です
決算書を読み解くメリット
決算書の基礎知識を身につけることで、以下の様なメリットがあります。
見込み企業への提案力UP!
決算書から読み解いた情報を元に、より深く見込顧客である企業を理解し、ニーズに合致した提案が可能になります。
市場分析に役立つ!
競合他社の決算書を分析することで、市場における自社の立ち位置や、今後の戦略策定に役立ちます。
自身のキャリアアップ!
財務知識は、営業パーソンとしての市場価値を高め、キャリアアップに繋がります。
ステップ1:決算書の種類を理解する
まず、決算書は上場企業などの場合、「貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュフロー計算書」「株主資本等変動計算書」「附属明細書」などで構成されています。金融商品取引法で作成が義務付けられています。
非上場企業の場合は、「貸借対照表」「損益計算書」「株主資本等変動計算書」「個別注記表」などで構成されています。こちらは、会社法によって作成が義務付けられています。
正式には財務諸表や計算書類といいますが、決算書と呼ぶのが一般的になっています。
とくに「貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュフロー計算書」の3つは「財務三表」と呼ばれ、企業の健康状態を判断する際に重視されます。
1.貸借対照表(B/S:Balance Sheet)
貸借対照表はバランスシート、略してBSとも呼ばれます。
ある時点(決算日)における企業の財政状態を表します。資産、負債、純資産の3つの要素で構成されています。
資産の部 | 現金、預金、売掛金、商品、建物など、企業が保有する財産 |
負債の部 | 買掛金、借入金など、企業が返済すべき負債 |
純資産の部 | 資産から負債を差し引いた、企業の純粋な財産 |
「資産 = 負債 + 純資産」「純資産 = 資産 ‐ 負債」 の関係式が常に成り立ちます。
2.損益計算書(P/L:Profit and Loss Statement)
損益計算書は略してPLとも呼ばれます。一定期間(通常は1年間)における企業の経営成績を表す、いわば企業活動の「成績表」といえるものです。収益・費用・利益の2つの要素で構成されています。
収益 | 売上高など、企業活動によって得られた収入 |
費用 | 売上原価、販売費および一般管理費など、企業活動に要した支出 |
利益 | 収益から費用を差し引いた額 |
損益計算書をもとに、以下の5つの利益を確認します。そうすると、その企業がどこで利益を得ているのかが明らかになります。
1.売上総利益 = 売上高 – 売上原価 2.営業利益 = 売上高 – 売上原価 – 販売管理費 3.経常利益 = 営業利益 + 営業外収益 – 営業外費用 4.税引前当期純利益 = 経常利益 + 特別利益 – 特別損失 5.当期純利益 = 税引前当期純利益 – 法人税等 |
3.キャッシュ・フロー計算書(C/F:Cash Flow Statement)
キャッシュ・フロー計算書は略してCFとも呼ばれます。
一定期間における企業の現金および現金同等物の増減を表す、いわば企業のお金の流れを管理するものです。営業活動、投資活動、財務活動の3つの活動区分で構成されています。
営業活動 | 商品の販売やサービスの提供など、企業の本業に関する活動 |
投資活動 | 設備投資や有価証券の売買など、将来の収益獲得のための活動 |
財務活動 | 借入や返済、株式発行など、資金調達に関する活動 |
4.財務三表の関係性を理解しておく
それぞれの決算書は独立しているのではなく、互いに密接に関連しています。
例えば、損益計算書で計上された当期純利益は、貸借対照表の純資産の部に加算されます。また、キャッシュ・フロー計算書における営業活動によるキャッシュ・フローは、損益計算書の当期純利益と密接な関係があります。
ステップ2:貸借対照表で企業の財務状態をチェック!
まず、貸借対照表から見ていきます。
貸借対照表は、企業がどのような資産を持ち、どのように調達した資金でまかなっているのか、という企業の財務状態を把握することができます。
特に、以下のポイントに注目してみましょう。
流動性 | 短期的な支払い能力 | 流動比率 = 流動資産 ÷ 流動負債 × 100 (%) 一般的に120%以上が望ましいとされます 当座比率 = 当座資産 ÷ 流動負債 × 100 (%) 一般的に100%以上が望ましいとされます |
安全性 | 長期的な支払い能力 | 自己資本比率 = 自己資本 ÷ 総資産 × 100 (%) 一般的に50%以上が望ましいとされます |
効率性 | 資産の運用状況 | 棚卸資産回転率 = 売上原価 ÷ 平均棚卸資産 数値が大きいほど、効率的に棚卸資産を回転させていることを示します |
これらの指標を見ることで、顧客企業の財務健全性を判断することができます。
例えば、流動比率や当座比率が低い場合は、短期的な資金繰りが苦しい可能性があります。自己資本比率が低い場合は、借入金への依存度が高く、返済リスクが高い可能性があります。
顧客企業との取引において、支払いサイト(締め日から支払いまでの期間のこと、月末締め翌月末払いなど)や与信管理などを検討する必要があります。
ステップ3:損益計算書で収益構造と利益率を分析!
次に、損益計算書を見て、企業がどのように収益を上げているのか、どれだけの利益を出しているのかを確認します。
以下のポイントに注目してみましょう。
売上高 | 企業活動の規模 | 前年度比や競合他社と比較して、売上高の推移や規模感を把握 |
売上総利益 | 本業の利益率 | 売上総利益率 = 売上総利益 ÷ 売上高 × 100 (%) 業界や企業のビジネスモデルによって大きく異なります |
営業利益 | 本業の儲け | 営業利益率 = 営業利益 ÷ 売上高 × 100 (%) 業界平均と比較して、収益性を判断 |
経常利益 | 本業以外を含めた安定的な利益 | 経常利益 = 営業利益+営業外収益 – 営業外費用 営業外収益は受取利息や受取配当金など、営業外費用は支払利息、為替差損、雑損失など |
当期純利益 | 最終的な利益 | 当期純利益率 = 当期純利益 ÷ 売上高 × 100 (%) 企業の収益性を示す重要な指標 |
これらの指標を見ることで、企業の収益構造や収益性を分析することができます。
例えば、売上高営業利益率が高い場合は、本業で効率的に利益を上げていることを示します。一方、売上高営業利益率が低い場合は、コスト管理の改善が必要である可能性があります。
▼この記事も参考になります!
ステップ4:キャッシュ・フロー計算書で資金の流れを把握!
最後にキャッシュ・フロー計算書を見て、企業の実際のお金の流れを確認します。キャッシュ・フロー計算書は、企業の財務状態をより正確に把握することができます。
以下のポイントに注目してみましょう。
営業活動によるキャッシュ・フロー | 本業でどれだけのキャッシュを生み出したか 安定的にプラスであることが重要 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | 設備投資など、将来への投資状況大きな投資が行われている場合は、将来の成長に期待 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | 借入や返済など、資金調達の状況借入への依存度が高すぎないかを確認 |
これらの情報から、企業の資金繰りの状況や、将来の成長可能性を判断することができます。
例えば、営業活動によるキャッシュ・フローがプラスでも、投資活動によるキャッシュ・フローが大きくマイナスになっている場合は、将来の成長のために積極的な投資を行っている段階であると解釈できます。
ステップ5:分析ツールを活用して、さらなる深掘りを!
さらに、ChatGPTなどの生成AIツールを活用することで、より深く分析することができます。
OpenAI社のChatGPTは、現在のところ、PDFファイルなどのドキュメントを読み込んで分析できる機能は有料版になりますが、Microsoft社のCoPilotなら無料で使えます。
以下のnote記事で詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
CoPilotを使えば、以下のような難解な資料でも瞬時に要約できます。3C分析や4P分析、SWOT分析などもすぐにできるので、ぜひ活用してみましょう。
IR資料 | 企業が投資家向けに作成する資料で、決算情報に加えて、経営戦略や今後の見通しなどが記載されています。 |
有価証券報告書 | 上場企業が提出義務のある報告書で、決算書をはじめ、事業内容、株式の状況、役員報酬などが記載されています。 |
決算説明会資料 | 企業がアナリストや投資家向けに開催する決算説明会の資料で、決算のポイントや今後の見通しなどが解説されています。 |
これらの資料は、企業のウェブサイトや金融庁のEDINET (Electronic Disclosure for Investors’ NETwork) などで入手することができます。
まとめ|決算書を読み解く力は、営業パーソンの武器になる!
今回は、営業パーソンが知っておくべき決算書の読み方について解説しました。
決算書を読み解く力は、顧客企業企業企業への提案力向上、交渉の有利な推進、市場分析、そして自身のキャリアアップに繋がる強力な武器になります。
最初は難しく感じるかもしれませんが、今回紹介したステップを参考に、まずは実際に決算書を開いてみて、数字に触れてみることから始めてみましょう!
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