「工数管理」はプロジェクトの進捗管理や原価計算だけでなく、業務効率化を行ううえでも欠かせません。
しかし、工数管理は入力や管理の手間がかかることから形骸化しやすく、「意味がない」「無駄」と思われがちです。なかなか運用できないと悩む管理者も多いのが現状です。
そこで今回は工数管理を行う必要性やメリットを改めて見直しつつ、工数管理が楽にできるクラウドツールをご紹介したいと思います。
工数管理とは
工数管理とは、プロジェクトや業務にかかった時間と人数を把握することで、進捗管理や原価管理ができる状態にすることをいいます。
「工数」は人日(にんにち)もしくは人月(にんげつ)の単位で示し、作業時間の合計を表しています。作業量を人が何日、もしくは何か月働くかで数値化したものになります。個人のパフォーマンスを可視化する際には人時(にんじ)の単位を使うこともあります。
【工数】 1人時=1人が1時間でこなせる作業量 1人日=1人が1日でこなせる作業量 1人月=1人が1か月でこなせる作業量 |
上記の通り、1人が1日働いて終わる作業量を「1人日」といい、工数は「人数×日数」で表します。5人で10日かかる作業なら「5×10=50人日」、10人で半日かかる作業なら「10×0.5=5人日」になります。
実際に工数を見積もるときには、作業する人の能力を考慮して作業時間を見積もります。さらに、作業する人ごとに単価を設定し、工数に掛け合わせることで人件費を算出します。
工数管理を行うメリット
工数管理を行う目的は、コストを算出して見積もりを提示したり、進捗管理をして遅延を防ぐことにあります。また、プロジェクト全体の工数を数値化して把握することで、利益を得ることにも繋がります。
意味がない、面倒くさいと敬遠されがちな工数管理ですが、習慣化できれば得られる効果やメリットは大きいです。
- プロジェクトの全体像を把握できる
- タスクごとに遅延がないかを確認できる
- 正確な作業時間を把握できる
- 正確な見積もりを出すことができる
- 原価管理がしやすい
- 人的リソースの管理を徹底できる
- 適切な量のタスクを割り振ることができる(オーバーワーク防止)
- 業務改善に繋がる
管理者側にとっては利益と原価を見える化することで、プロジェクトごとの収支を明確にできることがメリットになります。上場企業の場合は、株主や投資家に対して財務諸状況を報告する際、原価計算は必須になります。
また、従業員それぞれのリソースを把握できるので、一人にタスクが集中してオーバーワークになることを防げます。人的なリソースの空き状況も可視化できるので、組織全体の生産性を上げることも可能です。
工数管理のやり方
工数管理を行うメリットを最大限に発揮するには、精度の高い工数管理表が必要になります。工数管理を意味のあるものにするためにも、以下のように準備を進めます。
1.工数管理表を作成する
まずはプロジェクトの完成に必要なタスクをすべて洗い出します。
タスクの粒度は様々ありますが、まずは大まかに工程表を作り、さらにタスクに細分化してWBS (work breakdown structure)を作る方法が一般的です。
WBSを作る方法については以下の記事で詳しく解説しています
2.工数を見積もる
さらに、タスクごとに工数を見積もっていきます。作業を担当する人の能力によって作業時間や単価が変わってくるので、それぞれ考慮しながら作成します。
3.運用する
実際にかかった工数を入力していきながら予実管理を行います。工数の実績を確認しながら、進捗やコストに無理がないかを確認します。
4.分析・改善する
プロジェクト完了後は、工数管理表を分析して改善点を洗い出します。利益率を上げることはもちろん、次回以降のプロジェクトに活かすためにも、あらゆる観点から改善ポイントを見つけ出すことが大切です。
工数管理はツールを使うのがおすすめ!
日々の工数管理をするには、作業担当者が実際にかかった工数を入力する作業が必要になります。
エクセルやGoogle スプレッドシートで管理する方法もありますが、操作がかんたんで共有もしやすい工数管理ツールがおすすめです。
ざっくり分けて「クラウド型」と「オンプレミス型(PCにインストールして使用する)」がありますが、初期費用の安さ、操作のしやすさ、共有のしやすさといった点から、クラウド型の工数管理ツールをおすすめします!
おすすめのクラウド工数管理ツール10選
おすすめのクラウド工数管理ツールの特徴と料金をそれぞれ比較してみましょう。
- 入力の手間が少ない
- 直感的に操作できるUI
- 進捗状況を可視化できる(ガントチャート)
- 原価計算ができる
- 分析・レポート機能がある
- 無料トライアルができる
といった観点からおすすめのクラウド工数管理ツール10選をご紹介します。
おすすめの工数管理ツール ・ CrowdLog(クラウドログ) ・ TimeTracker NX(タイムトラッカーエヌエックス) ・ クラウドERP ZAC(ザック) ・ Time Crowd(タイムクラウド) ・ Pace(ペース) ・ Jooto(ジョートー) ・ Asana(アサナ) ・ Octpath(オクトパス) ・ Aipo(アイポ) ・ MiLK BOX(ミルクボックス) |
CrowdLog(クラウドログ)
CrowdLog(クラウドログ)は直感的な操作で工数管理ができるツールです。
GoogleカレンダーやOutlookと連携しているので、半自動的に工数入力をすることができます。リアルタイムで集計されるのも特徴です。
さらに、プロジェクト管理機能、ガントチャート機能もシームレスに使うことができます。勤怠管理機能、日報機能も網羅されているのでこれひとつで面倒な管理業務を完結することができます。
【無料トライアル】 1週間(ユーザー数・機能制限なく利用可能) 【料金】 ・ベーシックプラン 要問い合わせ ・プレミアムプラン 要問い合わせ |
編集部コメント
機能が豊富なのでCrowdLogひとつでいろいろできるのが魅力です。プロジェクト損益を見える化できるメリットは大きく、工数と原価の管理がとても簡単にできそうです。勤怠システムの乗り換えができそうなら、おすすめしたいツールです。
公式サイト:https://www.crowdlog.jp/
TimeTracker NX(タイムトラッカーエヌエックス)
TimeTracker NX(タイムトラッカーエヌエックス)は、WBS作成、ガントチャート、カンバンなどプロジェクト管理機能が充実していることはもちろん、Excel で作成したWBSも双方向に取り込むことができます。
また、メンバーごとにコスト単価を設定できるので、コスト管理もより簡単にできます。さらに進捗状況や工数をもとに、終了時のコストを予測する機能が搭載されているのが特徴です。
【無料トライアル】 ・体験版30日間無料 ・評価版90日間無料(サーバー費用は別途) 【料金】 ・クラウドサービス型 要問い合わせ ・オンプレミス型 スタンダードエディション 年額85,800円+ 月額1,430円/1ユーザー |
編集部コメント
工数や収支の見える化ができるのが特徴です。コスト面から考えると小規模チームよりも、ソフトウェア開発などの大規模プロジェクト向きだといえます。
公式サイト:https://www.timetracker.jp/
クラウドERP ZAC(ザック)
クラウドERP ZAC(ザック)は、その名の通り基幹業務システムの機能を備えたツールです。
工数管理、勤怠管理などの原価計算に関わる部分はもちろん、CRMなどのグループウェア機能、購買管理・在庫管理機能、会計・財務ソフトとの連携機能も搭載されています。
ワークフロー機能やBIツールとしての機能も備えていますが、自社に必要な機能のみをカスタマイズして使用できるので安心です。
【無料トライアル】 無料デモあり 【料金】 ・初期費用 10万円~(初期設定費用10万円+導入支援費用) ・ライセンス費用 月額600~7,000円/1ユーザー ・保守費用 月額5万円~ |
編集部コメント
導入コストがかかるのがネックですが、販売管理、在庫管理機能も搭載されているため、工数管理以外の部分も乗り換えれば効率よくDX化も可能です。
公式サイト:https://www.oro.com/zac/
Time Crowd(タイムクラウド)
Time Crowd(タイムクラウド)は工数管理というよりも、タイムトラッキングに特化した時間管理ツールです。タスクごとに時間を記録していくことで、メンバー間で時間とタスクが共有されます。
Chrome拡張機能や、ChatWork連携で文字入力不要でタスクの記録を始められます。Slack、Google カレンダー、Trello、Asanaなどのツールとも連携可能です。
【無料トライアル】 無料トライアル2週間 【料金】 ・ライト 月額550円/1ユーザー ・スタンダード 月額880円/1ユーザー+初期費用 11万円 ・エンタープライズ 要問い合わせ |
編集部コメント
機能は他のツールに比べて少ない印象ですが、その分シンプルでわかりやすい。誰が何をしたかを可視化するタイムトラッキング機能に特化しています。
公式サイト:https://timecrowd.net/
Pace(ペース)
Pace(ペース)は、日報から工数を算出するのが特徴です。
案件ごとに利益シミュレーションができるため、コスト感覚を身に着けたり業務改善を促すという点で優れているツールです。
1ユーザーごとの料金設定なので導入しやすく、契約・解約のフローがシンプルなのも好感が持てます。UIが洗練されているので、無料トライアルで確認してみましょう。
【無料トライアル】 無料トライアル30日間 【料金】 月額550円/1ユーザー(年払い6,050円) |
編集部コメント
スマートフォンやタブレットにも対応しています。日報の記入と提出が習慣化できていれば、負担なく導入できるツールです。
公式サイト:https://paces.jp/
Jooto(ジョートー)
Jooto(ジョートー)はドラッグ&ドロップだけで簡単に使えるプロジェクト管理ツールです。
複数のプロジェクトを一元的に管理でき、タスクごとのステータスも可視化できるので誰にとっても使いやすいツールといえるでしょう。
Googleカレンダーとの連携、SlackやChatworkとの連携などで情報を見落とすことを防げるほか、チャート機能が豊富なので全体像を把握しやすいです
【無料トライアル】 無料プラン(4名まで) 【料金】 ・無料プラン 0円 ・スタンダードプラン 月額500円/1ユーザー ・エンタープライズプラン 月額1,300円/1ユーザー ・コンサルティングプラン 要お問い合わせ |
編集部コメント
どのプランでも基本機能はすべて使えます。どの業種、職種でも使いやすいプロジェクト管理ツールです。
公式サイト:https://www.jooto.com/
Asana(アサナ)
Asana(アサナ)は目的にあわせて選べるテンプレートが用意されているので、すぐに工数管理を始めることができます。
タイムライン機能のUIが独特ですが、タスク同士の関連性がわかりやすいのが特徴です。また、Google、Slack、Jiraなどのアプリとも連携可能でより使いやすくカスタマイズすることもできます。
【無料トライアル】 ベーシックプラン無料(無期限) 【料金】 ・プレミアム 月額1,200円/1ユーザー ・ビジネス 月額2,700円/1ユーザー |
編集部コメント
機能や連携できるアプリが多いのが魅力ですが、逆に使いこなせない心配も。個人的にはタスク完了時のアニメーションが好きです。
公式サイト:https://asana.com/ja?noredirect
Octpath(オクトパス)
Octpath(オクトパス)はセキュリティに強みのあるクラウド工数管理ツールです。
サービス上の全ページで暗号化通信(SSL)を採用しているため、セキュリティ面が心配でクラウドツールの導入を避けている企業にもおすすめです。
メンバーごとに閲覧・編集の権限を設定できるほか、タスクに応じたマニュアルや作業手順を自動で表示することもできるのが特徴です。
【無料トライアル】 無料トライアル15日間 【料金】 スタンダード 月額1,650円/1ユーザー |
編集部コメント
セキュリティ面では安心感が高いサービスです。マネジメントに特化しているのもおもしろくて、新入社員のオンボーディングにも役立ちそうですね。
公式サイト:https://octpath.com/
Aipo(アイポ)
Aipo(アイポ)はチーム管理に特化しているサービスです。チーム全体のスケジュールをひとつのカレンダーで表示できるため、PC操作が苦手でも管理しやすいというメリットがあります。
また、カレンダー以外にも使いたい機能があれば、ピンポイントで追加可能。無駄なくシンプルに使えるのが魅力です。
【無料トライアル】 無料トライアル14日間 【料金】 ・ミニマム 月額350円/1ユーザー ・ベーシック 月額450円/1ユーザー ・プレミアム 月額700円/1ユーザー |
編集部コメント
必要な機能を月100円で追加できるところがおもしろいですね。日程調整機能もうれしいです。
公式サイト:https://aipo.com/
MiLK BOX(ミルクボックス)
MiLK BOX(ミルクボックス)は動画制作業務に特化した工数管理ツールです。
タスクやスケジュールの管理機能はもちろん、修正指示やファイルの共有もスマホ上でかんたんに行うことができます。
また、ポートフォリオの作成機能も搭載されているので、制作データやナレッジが蓄積できることも魅力です。
【無料トライアル】 フリープラン(個人向け) 【料金】 ・Small 月額3万円 ・Standard 月額5万円 ・Pro 月額10万円 ・Enterprise 応相談 |
編集部コメント
動画制作を手がけるrayout株式会社によるサービスです。現場で必要とされる機能に特化していて、デザインがおしゃれなのも納得ですね!
公式サイト:https://milkbox-video.com/
おすすめの工数管理ツール料金比較表
サービス名 | 料金 |
---|---|
CrowdLog (クラウドログ) | ・ベーシック 要問い合わせ ・プレミアム 要問い合わせ |
TimeTracker NX (タイムトラッカーエヌエックス) | ・オンプレミス型 スタンダードエディション 年85,800円+ 月1,430円/1ユーザー |
クラウドERP ZAC (ザック) | ・初期費用 10万円~ ・ライセンス費用 月600~7,000円/1ユーザー ・保守費用 月5万円~ |
Time Crowd (タイムクラウド) | ・ライト 月550円/1ユーザー ・スタンダード 月880円/1ユーザー+初期費用 11万円 ・エンタープライズ 要問い合わせ |
Pace (ペース) | ・月550円/1ユーザー(年払い6,050円) |
Jooto (ジョートー) | ・無料プラン 0円 ・スタンダード 月500円 ・エンタープライズ 月1,300円 ・コンサルティング 要お問い合わせ ※1ユーザーあたり |
Asana (アサナ) | ・プレミアム 月1,200円 ・ビジネス 月2,700円 ※1ユーザーあたり |
Octpath (オクトパス) | ・スタンダード 月1,650円/1ユーザー |
Aipo (アイポ) | ・ミニマム 月350円 ・ベーシック 月450円 ・プレミアム 月700円 ※1ユーザーあたり |
MiLK BOX (ミルクボックス) | ・Small 月3万円 ・Standard 月5万円 ・Pro 月10万円 ・Enterprise 応相談 |
まとめ
工数管理は「工数管理のための工数が必要」と言われるほど複雑なものになってしまっては意味がありません。また、精度の低いものになってしまってもいけません。
工数管理ツールを導入するなら、できるだけ運用の負荷が少ないものを選ぶのがコツです。例えば、日報作成や勤怠管理と連動しているものなら、そこまで手間を増やすことなく導入できるでしょう。
業種や職種によっては詳細なタスクを設定する必要もあるため、UIや操作性も重要になります。まずは無料トライアルで要件を満たしているかどうかを確認すると安心です。
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