企業の目標達成のために、日々の業務を細分化してプロセスごとに設定をするKPIが最近注目されています。
個人目標をしっかりと設定し、日々達成していくことで社員のモチベーションもあがります。しかし、KPIの設定をあやまると、組織や会社全体の目標であるKGIを達成できなくなります。
この記事では、KPIの意味や設定方法、またKGIとの違いについて詳しく解説していきます。
KPIとKGIの意味
KPI/KGI とは?
KPIとは、Key Performance Indicatorsの略で、業務などのパフォーマンスを測る上で重要な指標のことです。
日本語訳は「重要業績評価指標」となります。
対してKGIとは、Key Goal Indicatorの略で、事業などの大目標に対する達成度を測る上で重要な指標のことです。
日本語訳は「重要目標達成指標」となります。
規模はKGI > KPIとなり、事業の大目標に対して達成度を測る指標として設定されるのがKGI、さらにそれに対し、日々の業務で必要なパフォーマンスが出せているかを測る指標としてKPIが設定されます。
(例)大目標:3日間で東京から大阪に行く
KGI:1日目に静岡、2日目に三重に到達できているか
KPI:1日に△△時間、〇〇km/hで走れているか
◆関連用語
KPIとKGIの違い
KPI(重要業績評価指標)とKGI(重要目標達成指標)はとてもよく似ています。KPIとKGIの違いについて正しく知っておきましょう。
KPIは過程、KGIは結果を評価するもの
「KGI」は組織がめざすゴール、最終目標を意味するのに対し、「KPI」はKGI達成までの業務プロセスの達成度を定量的に評価するものです。
KGIを達成するために各KPIがあり、それぞれのKPIが日々達成できていれば、KGIを達成できるというものです。
KGIはビジネスのゴール目標そのもの、KPIはKGI達成のために各プロセスの数値目標を設定したものと考えるとわかりやすいですね。KPIは「計測器」のようなものと言えます。
KPIとKGIの関係
もし、業務それぞれのKPIとかけ離れるような数値が計測された際は、期初に想定していた方向に向かっていないことを意味するため、活動の方向を修正する必要がでてきます。
もし仮に、各KPIが達成されているのにKGIが達成されなかった場合は、設定したKGIのレベルに無理があったか、KPIの設定がやさしすぎたかのどちらかになります。
また、各KPIが達成されていないのにもかかわらず、KGIが達成できてしまったとしたら、KGIの設定がやさしすぎたのか、KPIの設定のレベルが高すぎたのかになります。
KPIとKGIの関係性については、後で説明するKPIツリーを作ってみるとわかりやすいです。
KPIを設定するメリット
企業の目標設定において、KPIを設定するとどのようなメリットがあるのでしょうか。
評価の基準が設けられる
KPIを設定すると、社内において評価制度としての基準が設けられるようになります。
KPIは、組織目標であるKGIを達成できるような数値を設定する必要があります。したがって、これまで設定ができていなかったような業務の目標についても、業務のプロセスを細分化して細かい目標設定が可能となるため、今後の自社の評価基準が定められるようになります。
個人の目標が明確になる
各業務のプロセスを細分化し、KPIを設定することで、社員個人の目標を明確に設定できます。
業務を細分化するということは、メンバー個人が日々何を目標にして何をすればよいかが明確となり、チーム全体の生産性の向上につながります。結果として、会社全体の業績アップへつながるのです。
モチベーションの向上
社員個人の目標が設定でき、細かい目標を日々追いかけて達成することで、社員一人ひとりのモチベーションがアップします。
なぜなら、簡単な目標でも日々の業務の中でコンスタントに目標を達成していくと、人はモチベーションがあがるからです。逆に、無理な目標をたててしまい、達成できなければモチベーションは非常に下がります。
したがって、設定したKPIを毎日達成していくことで、会社全体のモチベーションアップにもつながります。
KPIの設定方法
KPIの設定には、KPIツリーの形状で設定することと、SMARTの法則を意識することが必要です。
それぞれ見ていきましょう。
KPIツリーを作成する
KPIツリーとは、組織の大目標であるKGIを頂点としたツリー型の形状で、KPIを可視化したものです。
KPIツリーを作成することで、最終目標であるKGIを達成するためにはどんなKPIを設定すればよいか、そのためにはどんなアクションが必要なのかが明確になります。
また、日々の忙しい業務をこなしていると、スタッフもときには何のために今この業務をこなしているのだろうと、目標を見失うこともあります。
しかし、KPIを可視化することによって、分担された業務の目的にあらためて立ちかえり、モチベーションを上げて業務を遂行できるようになります。
SMARTの法則を意識する
SMARTの法則とは、目標達成を確実にするために活用される目標設定の方法です。
以下の5つの要素から構成されています。
- Specific…具体的であるか
- Measurable…測定可能であるか
- Achievable…達成可能であるか
- Relevant…組織目標と関連性があるか
- Time-bound…期限が定められているか
それぞれ解説していきます。
1、Specific(具体的であるか)
SMARTの「S」は、具体的であるかをチェックします。
目標の文言や表現があいまいでは、目標を達成するためにした行動まで「あいまい」になってしまいます。したがって、目標の内容は具体的である必要があります。
2、Measurable(測定可能であるか)
SMARTの「M」は、測定可能であるかどうかです。
要は数値化できるかで、目標は数字で測れるように設定する必要があります。なぜなら、数値化できない目標であると達成したかどうかを測りにくいからです。
3、Achievable(達成可能であるか)
SMARTの「A」は、達成可能な目標であるかです。
設定した目標が、とうてい誰も及ばないような絶対に無理な目標ではいけません。まったく目標が達成できないと、自己否定感が強まってしまい、その結果モチベーションが下がってしまうからです。
4、Relevant(組織目標と関連性があるか)
SMARTの「R」は、組織目標と関係があるかです。
組織目標であるKGIと、全く関係のないKPIを設定してしまっては意味がありません。設定するKPIが、部門や会社全体の目標と関連性があるのかをチェックしながらKPIを設定しましょう。
5、Time-bound(期限が定められてるか)
SMARTの「R」は、期限が定められているかです。
あらゆる目標は、達成するまでの期限をさだめる必要があります。「いつかこの目標を達成する」という期限があいまいな目標では、いつまでたっても目標を達成できません。
たとえば、「上半期の9月末までに◯◯を達成する」などのように明確に期限を設定しましょう。
KPIの設定には、以上の5つの要素を意識したKPIを設定しましょう。
テレアポのKPI設定事例
ここでは、テレアポ業務(アウトバウンド)におけるKPIの設定事例について紹介していきます。
KPI | 意 味 |
コール数 | オペレーターが電話をかけた回数 |
コンタクト率 | 顧客に繋がった率 |
処理時間 | 1コールあたりの応対時間 |
稼働率 | 業務時間のうち電話応対業務に充てている時間の割合 |
平均通話時間 | 通話にかかった平均時間 |
ミス発生率 | ミスが発生した率 |
CPH | 1時間に処理したコール数 |
CPC | 1コールにかかるコスト |
処理時間とは「1コールあたりの応対処理にかかった時間」で、この処理時間を短縮することが、コールセンターの収支に大きくかかわってきます。
また、稼働率は業務時間内で電話応対業務にかかっている時間の割合を指します。稼働率は100%ではなく、80%を超えるくらいにKPIを設定することが多いです。
CPCとは、1コールにかかった費用を指し、通信費や人件費などを含めたコストが1コールあたりどれくらいになるのかを計算したものです。
テレアポの業務では、このようなKPIを設定することで、オペレーターはミスを軽減したり、1コールにかかる時間を短縮したりというKPIを常に意識しながら業務を行っていきます。
まとめ
KPIについて、KGIの違いとともに解説してきました。
日々の業務を行う上で、KPIの設定はとても重要です。なぜなら、組織の目標であるKGIを達成させるため、細分化された業務のプロセスごとにKPIを設定することで、KGIに対してブレること無く業務を進めていくための計測器のような役割を果たすからです。
もし、KGI達成へと向かう方向にずれが生じた際は、ずれているプロセスのKPIを見直すことで方向が修正できます。
KPIを設定するメリットは具体的なアクションに落とし込めることにあります。チーム全体の生産性アップのために、KGIとKPIを見直してみましょう。