中小企業診断士は経営知識を体系的に学べることから、コンサルタントとして独立開業をめざす人だけでなく、キャリアアップを図りたい人からも注目を集めている国家資格です。
中小企業診断士は、どのような仕事をするのでしょうか？ どのような場面で仕事に役立つのでしょうか？
そこで、今回は中小企業診断士について詳しく解説します。この記事では、中小企業診断士の業務内容やキャリアアップ方法、試験の難易度までご紹介しているため、国家資格の取得を検討している方は参考にしてください。
中小企業診断士とは
中小企業診断士は、中小企業の経営課題を解決するために診断・助言を行う専門家です。国家資格の中小企業診断士試験に合格して経済産業大臣の登録許可を得ることで中小企業診断士として活躍できます。
国内企業の99.7%が中小企業ですが、多くの企業が事業成長や経営改善するための支援を求めています。そこで、中小企業は信頼できる人に経営相談できるように、経営産業大臣が中小企業診断士の申請登録を受け付けているのです。
中小企業の経営課題を解決するための診断・助言は、中小企業診断士の独占業務ではありません。しかし、中小企業診断士試験に合格すれば、専門性や信頼性を客観的に示すことができて経営者から信頼されるようになります。
中小企業診断士の業務内容
中小企業診断士の業務内容は「経営コンサルティング」「経営改善計画書と経営診断書の作成」「専門知識の発信」です。
経営コンサルティング
中小企業診断士は、中小企業と顧問契約を締結して経営支援（経営コンサルティング）を行います。 中小企業の経営課題を解決するために活用する経営資源を検討し、アクションプランを策定します。
企業の現状を分析した上で更なる成長をめざすための戦略立案や実行支援が主な業務です。必要に応じて、行政機関・金融機関との連携を促し、国や地方自治体の支援策を活用できるようにサポートします。
経営改善計画書や経営診断書の作成
中小企業診断士は、経営改善計画書や経営診断書の作成も行います。これらの書類は、金融機関や行政手続き上、必要となる書類です。
経営改善計画書は、経営改善に向けた施策や実行スケジュールをまとめた書類で、金融機関から融資を受ける際に提出します。一方で、経営診断書は中小企業の財務状況や経営体制を診断するもので、営業許可を申請する際にも必要な書類です。これらの書類の作成は、中小企業診断士にしか認められていない独占業務とされています。
専門知識の発信
中小企業診断士は、経営に関する専門的知識を活かして情報発信する役割も担います。中小企業の経営者や管理職層を対象としたセミナーや勉強会を通じて、経営戦略や資金繰り、人材育成、DXなど、経営に役立つノウハウを提供します。
セミナー登壇者として活躍すれば、経営者が改善すべき箇所に気付きアクションプランを策定できるようになるまでのきっかけを作ることができるでしょう。そのため、地域活性化に貢献したい方などが、積極的に取り組んでいます。また、本やSNSで役に立つ情報を発信する方もいます。
中小企業診断士の資格が仕事の役に立つ理由
中小企業診断士の資格が仕事の役に立つ理由は、経営に関する専門知識と実践力が他の場面にも活かせるためです。
例えば、中小企業の経営課題を解決するための診断・助言は経営コンサルタントに活かせるだけではなく、企業のコーポレート部門や経営企画部門などでも活かせます。
また、中小企業診断士の試験では財務・会計分野の問題も出題されるため、試験合格の過程で得た知識は会計業務にも活かせるでしょう。
企業によっては、中小企業診断士を取得すれば資格手当が受給できたり社内昇進・異動にも優位に作用したりします。さらに、就職・転職時にも難関資格を突破できる力を評価してもらえます。
中小企業診断士試験の難易度
中小企業診断士試験の合格率は一次試験が20～30%、二次試験が18～20％です。
中小企業診断士は国家資格であり、経営に関する幅広い知識と実践力が求められるため、難易度の高い資格として有名です。
中小企業診断士試験受験に必要な勉強時間
一次試験はマークシート形式で行われ、全部で7科目が出題されます。一次試験の合格には総得点60％以上かつ各科目40点以上が条件です。苦手科目があると不合格となるため、各分野バランス良く学習することが大切です。
二次試験は記述式で企業事例に基づいた問題が出題されます。企業が抱える課題を論理的に分析し改善策を提案できるかどうかが問われ合格すれば、その後に面談形式の口述試験が実施されます。
中小企業診断士試験に合格するためには、約800〜1,000時間程度の勉強時間が必要と言われており、極めて難易度が高い試験だと有名です。
中小企業診断士試験の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 種別 | 国家資格 |
| 試験区分 | 一次試験（マークシート式） 二次試験（記述式＋口述） |
| 一次試験科目 | ① 経済学・経済政策 ② 財務・会計 ③ 企業経営理論 ④ 運営管理（オペレーション・マネジメント） ⑤ 経営法務 ⑥ 経営情報システム ⑦ 中小企業経営・中小企業政策 |
| 一次試験合格基準 | 総得点60%以上（かつ1科目ごとに40点未満がないこと） |
| 二次試験内容 | 4つの事例問題（筆記試験） 面接試験 |
| 合格率（目安） | 一次試験：約20～30% 二次試験：約18～20% |
| 必要な勉強時間 | 約800～1,000時間（一次＋二次合計） |
| 受験資格 | 制限なし |
| 試験実施時期 | 一次試験：8月頃 二次試験：10月（筆記）、12月（口述） |
| 試験後の要件 | 合格後に実務補習（15日間）または実務従事（15日以上）で登録可能 |
まとめ
中小企業診断士は、経営全般に関する専門的な知識と実践力を備えた国家資格であり、独立・開業はもちろん、企業内でのキャリアアップにも大いに役立ちます。
中小企業診断士は難易度が高く、国家資格を取得するためには根気よく学習する必要がありますが、専門性を高めたい方にはおすすめの資格です。
将来的にコンサルティングとして独立をめざしたい方や企業内で経営戦略に携わりたい方など、あらゆるビジネスパーソンにとって価値ある資格です。この記事を読み、中小企業診断士に興味を持った方は、これを機会に取得を検討してみてください。
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