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着替えは休憩時間?それとも労働時間?知っておきたい4つの判断基準

働き方改革によって、長時間労働や残業代の未払い、サービス残業など、労働時間の問題が注目されています。

特に労働時間の定義着替え時間の扱いについては、労使間でのトラブルの元になりがちです。例えば、着替えを済ませてから出勤打刻をするのか、着替え時間も労働時間に含まれるのかどうかの判断は難しいケースがあります。

この記事では、着替え時間が労働時間に該当するかどうかを判断するための基準について解説していきます。

「労働時間」の定義とは?

労働基準法では、労働時間は「使用者の指揮命令下に置かれている状態」とされています。

この「指揮命令下に置かれている状態」というのは、従業員が自由な状態でなく、実質的に事業主から拘束されている状態を指します。

これには、実際に業務を行っている時間だけでなく、慣習もしくは暗黙の了解などによって受け入れられている状態も含まれます。そのため、業務に必要な準備時間や掃除時間も、労働時間に含まれる可能性があります。

参考:厚生労働省『労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン』

着替え時間は労働時間?無給?

労働基準法では1日8時間、週40時間を超える労働は原則として認められておらず、事業主は従業員の労働時間を管理する義務があります。

事業主が従業員を拘束している時間帯は、すべて「労働時間」と判断されるものの、業務から解放されている「休憩時間」については、労働時間とみなされません。

しかし、以下のような場合は、指揮命令下にあると判断できるため、労働時間に含まれるケースがあります。

着替え時間が労働時間に含まれる企業の事例

着替え時間を労働時間に含めるかどうか、企業の事例を見てみましょう。

2023年9月1日より、イケア・ジャパンは着替え時間を労働時間に含め、それに応じた賃金を支払う方針を施行しています。具体的には1日あたり10分の着替え時間が労働時間に含まれています。

ニトリでも、2023年9月から配送センターで働く従業員の着替え時間20分が労働時間と認められ、賃金を支払うと改定しています。

着替え時間が訴訟トラブルになった事例

着替え時間と労働時間についてはトラブルが起こりがちで、訴訟に発展した事例もあります。

イオングループのイオンディライトセキュリティの警備員が、夜間の仮眠時間や休憩時間に加え、着替え時間についても労働時間として賃金の支払い義務があることを求めた裁判です。千葉地裁は2017年5月17日、着替え時間は警備業務遂行のために必要な時間であり、警備員の裁量で自由に選択できる時間ではなかったため、着替え時間も労働時間に該当すると判決しました。

アートコーポレーション事件は、引越作業員の残業代や違法な給与控除などを争った労働訴訟です。会社で制服の着用が義務付けられ、朝礼前に着替えを済ませることが義務付けられていたことから、着替え時間および朝礼の時間を含め、残業代等の支払いを求めていました。この事件で東京高裁は2021年3月、始業前の着替え時間も労働時間に含まれると判断しました。

特に、ユニフォームや作業着などへの着替え時間が労働時間に含まれるかどうかについては、明確な法律がないためケースバイケースで判断されます。着替え時間が労働時間になるケース、ならないケースの条件を確認してみましょう。

着替え時間が労働時間に該当するケース

着替え時間が労働時間に該当するかどうかは、指揮命令下にあるかどうかが判断基準になります。以下の4つのケースは、着替え時間も有給の労働時間になる可能性が高いです。

就業規則業務マニュアルで制服着用を義務付けている場合、着替え時間は労働時間として扱われます。

会社が着替え場所を指定している場合、もしくはユニフォームでの通勤が困難な場合は、場所的な拘束を受けることになります。その場合は着替えの時間も労働時間に含まれる可能性があります。

従業員がユニフォームを着用しない場合に何らかの不利益が生じるような場合、着替えは労働時間として認められることがあります。例えば、明確な指示はなくとも、ユニフォームを着用しないと罰則がある場合は指揮命令下にあると判断できます。

安全や衛生上の理由から着替えが必要な場合も、着替え時間は労働時間に含まれます。例えば、建設作業現場での作業服、医療従事者の白衣などが該当します。

着替え時間が労働時間に該当しないケース

一方で、以下のような状況では、着替え時間は労働時間に含まれないとされることが多いです。

ただし、就業規則に「着替え時間は労働時間に該当しない」と明記があったとしても、ユニフォーム着用が義務で、着替え場所が指定されている場合は労働時間になります。

従業員の個人的な都合で着替える場合、それは労働時間には含まれません。

着替えが非常に簡単な場合、例えばジャケットを羽織るだけの場合などは、労働時間には含まれないとされます。

自宅から制服を着て通勤することが許されている場合、着替え時間は労働時間には含まれません。

企業が取るべき対策は?

企業は着替え時間を労働時間として扱うかどうかを明確にするため、慣習や暗黙の了解になっているルールを就業規則マニュアルとして適切に整備する必要があります。

また、従業員とのコミュニケーションを通じて、着替え時間の取り扱いに関する理解を深めることも重要です。

着替え時間の扱いは、企業側も従業員側も言い出しにくいデリケートな問題です。企業としては、法律を遵守しつつ、従業員の満足度を高めるための適切な対応を模索することが求められます。

例えば、着替え時間を10分として、その時間を労働時間に含める旨を就業規則に明文化しておくことが大切です。

まとめ

着替え時間が労働時間に含まれるかどうかは、状況に応じて判断する必要があります。上記の判断基準や事例を参考に、企業も従業員も労働時間に関する正しい情報を知っておくことがトラブル防止に繋がります。

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Akala Note編集部


右も左もわからないままIT企業に入社。研修でテレアポ、テレマーケティングのおもしろさにはまり、インサイドセールス部門に配属を希望。法人営業、マーケティング部門も経験し、いまでは新人研修も担当する。BtoB営業・マーケティングのオールラウンダーをめざして奮闘中!

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