動画広告は近年のマーケティングトレンドのひとつ。「動画広告」や「動画コンテンツ」に注力する企業が増えています。SNSでも企業の動画広告をよく見かけますよね。
動画広告に限らず、企業が施策を行うときは正しく目標を設定し、どれだけ達成できたかの指標が必要になります。
しかし、動画広告の場合は、何をKPIと設定すべきなのかわかりづらいもの……。そこで今回は「動画広告の効果測定とKPIの設定方法」について解説したいと思います。
動画広告のKPIとは
KPI/KGI とは?
KPIとは、Key Performance Indicatorsの略で、業務などのパフォーマンスを測る上で重要な指標のことです。
日本語訳は「重要業績評価指標」となります。
対してKGIとは、Key Goal Indicatorの略で、事業などの大目標に対する達成度を測る上で重要な指標のことです。
日本語訳は「重要目標達成指標」となります。
規模はKGI > KPIとなり、事業の大目標に対して達成度を測る指標として設定されるのがKGI、さらにそれに対し、日々の業務で必要なパフォーマンスが出せているかを測る指標としてKPIが設定されます。
(例)大目標:3日間で東京から大阪に行く
KGI:1日目に静岡、2日目に三重に到達できているか
KPI:1日に△△時間、〇〇km/hで走れているか
◆関連用語
上記の通り、KPIは目標の達成度を測定する指標になるものです。わかりやすくいうと動画広告の効果測定をするための数値目標です。
KPIについて詳しくは「KPIとは?意味や設定方法、KGIとの違いをわかりやすく解説」のk時でも紹介しています。
KPI設定が必要な理由
動画広告は出して終わり、ではありません。動画広告には必ず達成したい「目標」があるはずです。
動画広告の効果を数値的に可視化することで、期待した効果があるか、目標を達成しているかを測定することができます。また、その数値をもとにPDCAを回すこともできます。
できれば動画制作をする段階でKPIを適切に設定し、数値的な目標からブレることなく制作を進めることも大切です。
何をKPIとして設定するか
何の数値をKPIとして設定するかは、動画広告の目的によって異なります。
例えば、自社商品やブランドの認知度アップを狙うなら、動画の「視聴回数」や「インプレッション数」をKPIとして設定します。
また、商品やサービスの購入を目的とするなら、「クリック数」や「コンバージョン率」がKPIになります。
動画を再生してもらうにはインパクトあるアイキャッチが必要だ、使用シーンが具体的にイメージできたほうが購入してもらえるのではないか、という具合に逆算的に動画制作ができるのもKPIを設定するメリットになります。
動画広告によく使われる指標
動画広告の効果測定に使われる指標にはいくつか種類があります。動画広告以外の広告にもよく使われるので、覚えておくようにしましょう。
指標 | 詳細 |
---|---|
インプレッション | 広告が表示された回数 |
クリック数 | 広告がクリックされた数 |
CV・コンバージョン | 広告を経由して購入・会員登録・資料請求などの成果に至ったユーザーの数 |
コスト | 広告にかかった費用 |
CTR(Click Through Rate)・クリック率 | 広告が表示された回数(インプレッション数)に対する広告がクリックされた割合 |
CVR(Conversion Rate)・コンバージョン率 | 広告を経由して購入・会員登録・資料請求などの成果に至ったユーザーの比率 |
CPC(Cost Per Click)・クリック単価 | 1クリックを獲得するのにかかるコスト 費用÷クリック数もしくはCPA×CVRで求められる |
CPA(Cost Per Action)・コンバージョン単価 | 購入・会員登録・資料請求などの成果を獲得するのに1人あたりにかかった費用 費用÷コンバージョン数もしくはCV×CPAで求められる |
動画広告に必要なKPI
次に動画広告に必要なKPに注目してみましょう。
動画広告の効果測定をする際は、マーケティングファネルを使います。このファネルを見ながら、施策がどの段階を目的として行うのかを確認することが重要です。
動画広告の目的別KPI
動画広告の目的別にKPIを整理すると以下のようになります。
リアルタイムで集計される「定量的なKPI」のほか、市場調査などのアンケート調査などで明らかになる「定性的なKPI」も重視されます。
各KPIの数値は、動画広告を出稿する媒体の管理画面で集計されます。
また、適宜KPIツールなどを導入することで、より詳しく計測と確認ができます。確認したい数字が正確にわかるアナリティクスツールや調査方法を確認しておきましょう。
定量的なKPI | 定性的なKPI | |
認知 | 視聴回数 インプレッション ユニーク視聴者数 | ブランド認知度 広告想起率 |
検討 | 視聴完了数 再生時間 | ブランド好感度 比較検討ブランド 関心度 |
行動 | クリック数 問い合わせ件数 会員登録数 売上 | 購入意向 |
「認知」が目的の場合のKPI
自社の商品やサービスをより多くの人に知ってもらうことをめざす段階です。
そのため、ユーザーの行動よりも動画広告がどれほど多くの人の目に触れたかをKPIとします。
視聴回数 | 動画広告をユーザーが視聴または再生した回数です。広告媒体によってカウント方法が異なる場合があるので各媒体のヘルプも確認しましょう。 |
インプレッション | 動画広告が画面上に表示された回数です。必ずしも再生されているとは限りません。 |
ユニーク視聴者数 | 動画を視聴した人数です。ユニーク数となるため、同じデバイスで複数回再生されても1人としてカウントされます。 |
ブランド認知度 | 動画広告がブランド認知度の向上につながったかをアンケートなどを用いて確認します。 |
広告想起率 | 関連ワードから思い浮かべる動画広告が何かをアンケートなどを用いて確認します。 |
「検討」が目的の場合のKPI
検討段階では、商品・サービスへの理解を深め、好感を持ってもらうことが目的となります。そのため、できる限り長い時間、動画を見てもらうことを指標としましょう。
SNSの動画プラットフォームを利用する場合は「いいね」や「シェア」などのエンゲージメント数もKPIになります。
視聴完了率 | インプレッション数のうち、最後まで視聴された回数の割合です。広告媒体によっては指定の秒数以上視聴されると視聴完了数としてカウントされる場合もありますので、各媒体のヘルプを確認しましょう。 |
再生時間 | 指定期間内で動画が再生された総合計時間です。平均視聴時間などを算出するのにも用いられます。 |
ブランド好感度 | 動画広告が自社ブランドの好感度向上につながったかをアンケートなどを用いて確認します。 |
比較検討 | 広告メッセージによりブランドまたは商品やサービスを比較検討につなげられたかをアンケートなどで確認します。 |
ブランド関心度 | 検索キーワードのオーガニック検索数などで変化が起きたかを広告配信前後で比較して確認します。 |
「行動」が目的の場合のKPI
商品やサービスを購入または問い合わせや会員登録など、コンバージョンをめざします。この段階では、いかに効率的にその行動へ導けたかを指標としましょう。
クリック数 | 動画広告をクリックした回数です。直接URL等での遷移など細かく見ることもできますので、KPI設定時にどのような数値をとるか定めておきましょう。 |
問い合わせ数 | 動画広告配信後の問い合わせ件数で確認します。 |
会員登録数 | 問い合わせ数と同じく、会員登録者の推移を確認します。 |
売上 | こちらも同じく、広告配信後の売上推移を確認します。 |
購入意向 | 実際の購入に関わらず、購入意向の変化があったかをアンケートなどを用いて確認します。 |
PDCAを繰り返して改善スピードをあげる
実際に動画マーケティングを行う際は、動画広告の目的と数値を決め、それを達成するための期間を設定します。
正しくKPIを設定することで、動画マーケティングをより効果的に展開することができます。動画広告を配信するなら、設定したKPIに応じて効果測定をし、常にPDCAを回していくことがとても重要です。
競合他社と比較したくなりがちですが、効果検証はあくまで自社の設定したKPIで行い、A/Bテストなども行いながらクリエイティブの最適化をめざしましょう。
KPIの設定が動画マーケティングの成否を分ける
今回解説したKPIの設定方法は、動画広告の効果をきちんと知り、成功につなげるための基本的な考え方です。
配信媒体によって、どのような数値が計測できるかも事前に調査し、施策の目的に合わせてメインとなるKPIやサブKPIなどをしっかり設定することが重要です。
そして、設定したKPIを達成するためにも継続的に測定や分析を行い、PDCAサイクルを細かく何度も繰り返して、動画マーケティングの成功につなげましょう。