「補助金」や「助成金」という言葉を聞いたことがありますか? どちらも国からもらえるお金で返済の義務はありません。そのため、資金調達方法としても注目されています。
また、補助金や助成金を受け取れる企業=健康経営の優良企業と判断できることから、営業リストを作る際の参考にすることもできます。
しかし、その性質や満たすべき要件には大きな違いがあるのをご存知でしょうか? 今回は法人営業をするなら知っておきたい、補助金と助成金の違いについて詳しく解説します。
補助金も助成金も国からもらえる「返済不要」のお金
「補助金」も「助成金」も返済の必要がない、国からもらえるお金です。返済不要という点が共通の特徴になります。公的資金や交付金、支援金、給付金と呼ばれることもあります。
中小企業・スタートアップ企業向けの支援金
どちらも政府がめざす経済目標の達成に関わる取り組みや事業に対して支払われるものです。基本的には「後払い」で、実際に入金されるまでに時間がかかる場合もあります。
「大企業しか支援してもらえない」と思われがちですが、それは違います。国は中小企業やスタートアップ企業にこそ手厚い支援策を用意しています。その一環として、助成金制度や補助金制度が設けられているのです。
地方自治体が実施していることもある
補助金や助成金に関する事業は、国だけでなく、地方自治体が実施している場合もあります。
呼び方については特に定義がないこともあります。例えば、東京都の場合は補助金も助成金も「助成金」という名称で一本化されています。
補助金と助成金、それぞれの目的と意味
ここでは、国が実施している助成金と補助金に焦点を当て、それぞれの目的と意味について紹介します。
助成金とは
助成金とは厚生労働省で取り扱う、人材能力開発や雇用に関連した雇用保険を財源とした支援金のことを指します。
現在では50種類以上の助成金制度が設けられており、それぞれに受給要件が設定されています。要件を満たせば、個人事業者・法人問わずに受給することができます。
補助金とは
補助金とは経済産業省によって公募が行われ、税金を財源として実施されている支援金のことをいいます。
主に販路拡大や設備投資が受給要件として設定されており、国の政策目標に沿った事業に取り組む中小企業を補助する目的があります。近年ではIT導入補助金に、インボイス制度のシステム対応に対する補助金が受け取れることが話題になりました。
補助金も、個人事業者・法人問わずに受給することができますが、審査を通過する必要があります。
参考:経済産業省・中小企業庁「ミラサポplus 補助金・助成金 中小企業支援サイト」
1.管轄する省庁と目的が違う
補助金も助成金も、「社会を良くする」という趣旨は同じです。しかし、それぞれ管轄する省庁が異なっており、支援対象と支援目的も異なっています。
「補助金」は経済産業省の管轄
国の政策目標達成をめざした事業をサポートする交付金のことを「補助金」と呼びます。
補助金の管轄は経済産業省や中小企業庁の管轄になります。起業家や中小企業を支援する制度で、設備投資にかかる費用や研究費が補助対象となっています。
「助成金」は厚生労働省の管轄
雇用関係の交付金のことを「助成金」と呼びます。助成金の管轄は厚生労働省となり、雇用に関する取り組みを支援し、失業率を下げるという目的があります。
2.大きな違いは審査の有無
助成金は要件を満たし、申請書類に不備がなければ受け取れます。
しかし、補助金の場合は事業計画書を作成して審査を通過し、補助金事業として採択されなければなりません。要件を満たしていても、審査で不採択となれば補助金を受け取ることができません。
事業計画書とは?
「事業計画書」とは、事業を説明するための資料です。補助金申請だけでなく、公的融資や銀行融資などの資金調達の際にも必要になるものです。
事業の収益性を明らかにしなければなりませんが、ただの数字の羅列ではなく、収益性の裏付けがあり、事業にかける想いや情熱のこもったものでなければ、審査員を納得させることはできません。
事業計画書に書くべきこと
事業計画書は、補助金ごとに様式が異なっていますが、おおよそ以下の内容を盛り込みます。インターネットで調べると事業計画書の実例が公開されているため、ぜひ参考にしましょう。
企業概要…自社の魅力や過去の実績 顧客ニーズと市場の動向…市場調査・競合調査など根拠あるデータを記載 自社や自社の提供する商品・サービスの強み…「ウリ」になるポイント 経営方針・目標と今後のプラン…どのくらいの収益増が見込めるのか具体的示す 費用明細・資金調達方法 など |
3.補助金は税金を滞納していないこと、助成金は雇用保険加入が必須
補助金は「税金」が原資となっています。税金を滞納している事業者は申請することができません。
助成金の原資は「雇用保険」です。そのため、雇用保険に未加入の事業者、または加入していても保険料を滞納している事業者は申請することができません。
4.補助金は申請できる期間が決められている
助成金は通年で申請が可能です。しかし、次の年度で打ち切られてしまったり、要件が変更されるということが頻繁にあるため、年度ごとに確認が必要です。
補助金は1年のうちの申請期間が定められており、補助金ごとに募集期間が異なっています。予算の上限に達すると受付が締め切られてしまうこともあります。
5.補助金のほうが受け取れる金額が大きい
助成金よりも補助金のほうが、受け取れる金額が大きいです。
助成金は定められた取り組みを行うことで、定額の助成金を受け取ることができるというものです。
補助金は補助金事業にかかった経費の1/3から1/2を補助する仕組みですが、設備投資などを行う必要があることから上限額は数百万円から数千万円に設定されています。
助成金一覧と受け取れる金額の例
助成金名 | 支給額 |
---|---|
キャリアアップ助成金(正社員化コース) | 1人あたり最大68万円 |
両立支援等助成金(育児休業等支援コース) | 1人あたり最大72万円 |
トライアル雇用助成金(一般トライアルコース) | 1人あたり最大15万円 |
補助金一覧と受け取れる金額の例
補助金名 | 補助率 | 補助上限額 |
---|---|---|
小規模事業者持続化補助金 | 2/3 | 50万円または200万円※インボイス特例対象事業者は50万円上乗せ |
ものづくり補助金 | 1/2 または 2/3 | 100万円~1,000万円 |
IT導入補助金 | 1/2 | 30万円~450万円 |
▼インボイス制度についてわかりやすく解説しています
6.それぞれ専門家がいる
助成金も補助金も自力で申請することはもちろん可能ですが、申請代行を専門家へ依頼することもできます。このとき、依頼できる専門家にも違いがあります。
補助金の申請代行ができる専門家は?
補助金については、特に独占業務として定められている資格はありません。しかし、説得力のある「事業計画書」を作成するには、専門家のサポートが必要です。
補助金事業として採択されるには、この事業計画書をもとにした書類審査を通過する必要があります。事業計画書の作成は行政書士や税理士のほかにも、中小企業診断士も得意としていることが多いです。
また、中小企業庁の施策として、「経営革新等支援機関(認定支援機関)」の経営サポートを受けることができます。ここには行政書士や税理士、中小企業診断士を含む数々の専門家が登録されており、経営に関することを相談できる公的な支援機関として利用できます。
助成金の申請代行ができる専門家は社会保険労務士
雇用保険関連の助成金の申請代行ができるのは社会保険労務士だけです。社会保険労務士の独占業務として認められており、申請書を作成するだけでなく、依頼者に代わってハローワークや労働局での手続きをまかせることもできます。
また、助成金申請の際は、「就業規則」の整備や「法定三帳簿(労働者名簿・賃金台帳・出勤簿)」の提出が求められることがほとんどです。助成金申請をしようとしたときに、「初めて労務関係書類の不足に気づいた」というケースもあります。
労務関係書類の整備も併せて整備するため、専門家である社会保険労務士へ依頼することが多いようです。
中小企業の定義について
助成金も補助金も「中小企業を支援する目的がある」とご紹介しましたが、中小企業の定義についても触れておきます。
助成金でも補助金でも中小企業については、以下のように定義づけています。
業種分類 | 中小企業基本法の定義 |
---|---|
製造業その他 | ・資本金または出資の総額が3億円以下 ・従業員数300人以下 |
卸売業 | ・資本金または出資の総額が1億円以下 ・従業員数100人以下 |
サービス業 | ・資本金または出資の総額が5000万円以下 ・従業員数100人以下 |
小売業 | ・資本金または出資の総額が5000万円以下 ・従業員数50人以下 |
また、補助金の場合は中小企業者とは別に、「小規模企業者」についても定義づけられています。
産業分類 | 小規模企業者の定義 |
---|---|
製造業その他 | 従業員数20人以下 |
商業(卸売業・小売業)・サービス業 | 従業員数5人以下 |
※宿泊業および娯楽業は従業員数20人以下の事業者を小規模企業者としています。
営業リスト作成にも役立つ!企業の規模を知る方法
補助金・助成金を受け取っている企業は優良企業?
助成金や補助金の申請手続きは、とても手間がかかります。書類を書いて提出するだけではなく、従業員の雇用や育成などを実施する、事業計画に基づいて設備投資を行うなどの取り組みを経て、やっとお金がもらえるという性質があります。
そのため、この点をデメリットと捉える事業者も多いのも事実です。
逆に、BtoB営業をする、法人営業をする場合、補助金や助成金を受け取っている企業は健康経営をしている優良企業と判断することができます。
補助金を受け取っている=有益な事業を行っている
補助金は、社会の発展に役立つ事業を行うと、経費の一部を補助してもらえる制度です。
経済産業省から補助金をもらうということは、国が自社の事業の有益性を認め、高く評価しているということになります。金融機関などからの融資も受けやすくなり、設備投資にも積極的でしょう。
助成金を受け取っている=労働環境が整っている
助成金には雇用の安定や労働環境を整える目的があり、それに取り組んだ結果としてもらえるお金です。
つまり、助成金がもらえるということは、国や厚生労働省が認める労働環境を実現しているという証になります。正社員を雇う、従業員教育を行う、待遇を改善するという取り組みは事業拡大に積極的と判断できます。
補助金と助成金の違いまとめ
補助金も助成金も「返済不要の国からもらえるお金」という点は共通ですが、それぞれに細かく受給要件が定められています。
そのため、雇用に関する取り組み、事業拡大に関する取り組みに積極的な企業と判断できるため、新規営業先としてふさわしい要件を備えているといえます。
例えばIT導入補助金の採択事業者はホームページで企業リストを閲覧することができます。
助成金を受給している企業は公表されませんが不正受給した事業者は公表されます。また、助成金を受給する要件のひとつに「ハローワークで求人を出して雇用すること」があるため、ハローワークで求人情報を出していることがひとつの指標になるでしょう。
営業リストを作る際、その企業が補助金を受給しているか、ハローワークで求人を出しているかも重要なシグナルになることを覚えておきましょう。
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