チームの成長には、取り組んだ内容を振り返ることも重要です。振り返りで反省点や課題を洗い出すことで、次にすべき行動を明確にできるためです。
またその際は、フレームワークを利用することで効果的・効率的な議論ができるでしょう。本記事では振り返りがチームの成長に欠かせない理由と、おすすめのフレームワーク5選を紹介します。
振り返りとは何か?なぜチームにとって重要なのか?
振り返りとは、事業やプロジェクトが一定程度終了した際やマイルストーンごとに、業務の評価や反省点を洗い出し、分析することで次に生かすプロセスです。振り返りをすることで、以下の効果が期待できます。
- 改善点が見つかる
- 失敗を次に生かせる
- 成果につながる
- チームがステップアップできる
- 課題や弱点を洗い出せる
- チームが継続的に成長できる
振り返りは個人にも有効ですが、事業やプロジェクトなどのチームでするのもおすすめです。なぜならチーム全体の力を底上げすることで、組織力を向上できるためです。事業やプロジェクトの成功の推進力となるでしょう。
振り返りのフレームワークとは
振り返りのフレームワークとは、効率的・効果的な議論をするための分析方法や考え方、枠組みです。
フレームワークは先人が作り上げた知恵の結晶です。そのため、知られているフレームワークを使用することで、以下の効果が期待できます。
- 効果的な振り返りができる
- 振り返りの作業時間を短縮できる
- スムーズに進行しやすい
- 業務の課題が見つかりやすい
- 振り返りの成果を得られやすい
つまり、ゼロから振り返りの方法を模索するよりも、フレームワークを活用して振り返ることが成功への近道です。
振り返りのフレームワーク5選
チームの振り返りに最適なフレームワークは5つあります。
フレームワークにより強みが異なるため、目的に応じて使い分ける必要があります。この章では各フレームワークの特徴や強みについて解説します。
KPT(ケプト)法
KPT法とは、「Keep(持続)」「Problem(問題)」「Try(挑戦)」の頭文字から名付けられた振り返りのフレームワークです。
名前のとおり、以下の3つの視点からチームの振り返りをおこないます。
- Keep:良かった点
- Problem:悪かった点
- Try:改善点
KPT法は、事業やプロジェクトの良かった点・悪かった点をチームで共有し、改善点や次にすべきことを明確にできます。シンプルな考え方なので、基本的な振り返りのフレームワークといえるでしょう。
やり方の手順は以下のとおりです。
1. KPTのフォーマットを準備する 2. KeepとProblemを書き出す 3. KeepとProblemについてチームで議論する 4. チームでTryを決める |
まずはKeepとProblem、Tryのブロックに分けたフォーマットを準備してください。次に、「Keep」の項目にうまくいったこと・良かったこと、「Problem」の項目に失敗したこと・悪かったことを書き出します。
書き出したKeepとProblemについてチームで議論し、新たに挑戦すべきことや改善策を「Try」に書き出して完了です。
KPT法は、「課題を早期に発見・解決したい」や「効果的な意見交換をしたい」などの場合に向いています。
プラス・デルタ法
プラス・デルタ法は、プラスの「良かったこと・継続したいこと」とデルタの「改善したいこと」の2つの視点から振り返るフレームワークです。KPT法よりもシンプルなフレームワークなので、より短時間で実施できます。
プラス・デルタ法のやり方は以下のとおりです。
1. 縦半分に線を引き、プラス・デルタの項目を分ける 2. プラスとデルタを書き出す |
まずは紙やホワイトボードの縦半分に線を引き、プラスとデルタの項目を分けます。次にプラスに「良かったこと・継続したいこと」を、デルタに「改善したいこと・変えること」を書き出します。
最後に書き出した要素に優先順位を付けると、次にすべき要素を判断できるのでおすすめです。
シンプルなので、「短時間で振り返りたい」や「振り返りやKPT法に慣れていない」などのチームに向いています。
YWT法
YWT法は日本生まれの振り返りのフレームワークで、「Y:やったこと」「W:わかったこと」「T:次にすること」の頭文字から名前が付けられています。
YWT法は、やったこと・わかったことなどの真実や結果から振り返り、次にすべきことを検討します。やり方はいたってシンプルで、手順は以下のとおりです。
1. やったことを書き出す 2. わかったことを書き出す 3. 次にすることを書き出す |
Y:やったこと
まずは、これまでの事業やプロジェクトの取り組みを書き出します。ここでは客観的な視点で書くことがポイントです。また成功した取り組み・失敗した取り組みのどちらについても洗い出します。
W:わかったこと
次にやったことから、自分が気づいたこと・感じたことを書き出します。自分の感性を重視するのがポイントです。チームといっても人それぞれ感性が異なるため、多くの方の視点で振り返ることで、より多くの気づきを得られるためです。
T:次にすること
最後にわかったことをもとに、次にすることを書き出します。
YWT法はチームでの振り返りだけではなく、個人の振り返りにも利用できるフレームワークです。チーム・個人を成長させたいときに向いています。
Star fish法
Star fish法は、フレームワークの図形がヒトデ(Star fish)に見えるのが特徴です。以下の5つの項目を書き出し、重要度の高い要素から議論します。
- Keep Doing:すでに実施しており、今後も継続すべきこと
- More of:今後さらに拡大・注力したいこと
- Less of:すでに実践しているが、効果が出ていないこと
- Stop Doing:やめるべきこと
- Start Doing:次回から取り組みたいこと
Star fish法のやり方は以下のとおりです。
1. 5つの項目に対して、まずは個人で書き出す 2. チームで書き出した内容を共有する 3. 共有した項目のなかで、議論したい要素を投票で決める 4. 投票数が多いものから議論し、改善策や次の行動を決める |
つまり、Star fish法は優先順位の高い要素から議論できるのが特徴です。プロジェクトの一番大きな課題にアプローチしたい場合に向いています。
セイルボート法
セイルボート法とは、ヨットがゴールの島を目指すイメージで振り返るフレームワークです。視覚的にわかりやすく、チームで和気あいあいと議論できるでしょう。
セイルボードに含める項目は一般的に以下の5種類です。
- ヨット:進捗状況
- 島:チームのゴール
- 追い風:プロジェクトをゴールに近づける要因
- 錨(いかり):プロジェクトの進行を阻むブロッカー
- 岩・暗礁:ヨットを座礁させうるリスク
- 太陽:うれしかったこと
セイルボードのやり方は、まず上記の5つの項目を表すイラストを描きます。次に、それぞれの項目内容に適した要素を付箋などで貼り付けます。その付箋をもとにチームで議論し、ヨットが島に到着できるような改善案を模索するのです。
振り返りを和やかな雰囲気でしたい、楽しみながら振り返りたい場合に向いています。
チームの成長には振り返りが欠かせない
チームを成長させるには、振り返りは欠かせません。振り返りを実施することで、うまくいったこと・失敗したこと・次にすべきことなどを明確にできるためです。
効率的に振り返るためには、以下のフレームワークのいずれかを目的に応じて選択してください。
- KPT法
- プラス・デルタ法
- YWT法
- Star fish法
- セイルボート法
振り返りの際はホワイトボードでもふせんでもOKです。オンラインなら、Miroというオンラインホワイトボードが便利です。振り返りのテンプレートも無料で用意されているので、おすすめです。
本記事で紹介した5つのフレームワークをまだ試したことがない場合は、この機会にぜひ使ってみましょう。
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