「産休・育休制度」は、働く親が子育てと仕事を両立できるように支援するための重要な制度です。
休暇に加えて給付金も受け取ることができるので、不安なく出産・子育てができるというものです。今回は意外と知らない産休・育休でもらえるお金の疑問について解説していきます。
産休(産前産後休業)とは?
産休、つまり産前産後休業は、労働基準法第65条で定められている女性労働者が取得できる休暇です。母体の健康と回復を守るために設けられており、女性が安心して出産に臨めるようにするためのものです。
出産予定日の6週間前から(多胎の場合は14週間前から)取得可能で、出産後は8週間の休暇が義務付けられています。産後8週間が経過していない女性を働かせることはできません。
女性が希望し、医師が許可した場合に限り、産後6週間から働くことができます。
育休(育児休業)とは?
育休は育児・介護休業法(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)によって規定されており、1歳未満の子どもを養育するために取得できる休暇です。
この法律は1995年に成立し、2017年には保育所に入れない場合などは子どもの2歳の誕生日の前日まで期間を延長できるよう改正されました。育休は男女どちらの労働者も取得する権利があります。
産後パパ育休
産後パパ育休はパパ産休とも呼ばれていますが、正式名称を「出生時育児休業」といいます。2022年10月から施行された育児休業法改正で創設された制度です。2022年9月30日までの制度とは異なり、特別な事情がなくても取得できるようになりました。
妻の出産後8週間以内に、夫が最長4週間の育児休暇を取得できる制度で、分割取得も可能です。休暇中の給与は雇用保険から育児休業給付金(休業前の賃金の67%)が支給されます。雇用保険に加入していれば、正社員のほか、契約社員、パート・アルバイトも取得できます。
パパ・ママ育休プラス
パパママ育休プラスは、夫婦が協力して育児休業を取得しやすいよう、育児休業の取得期間を子が1歳2ヶ月になるまでに延長する制度です。厚生労働省が推進しており、2020年4月から施行されています。
両親がともに育休を取得する場合、最大8週間の育児休業を追加で取得することができ、結果的に子が1歳2か月になるまで育児休業の取得が可能になります。
参考:厚生労働省ホームぺージ
産後パパ育休と産後パパ育休の違い
育休と産後パパ育休は、どちらも仕事と育児の両立を支援する制度ですが、いくつか違いがあります。
育休 | 産後パパ育休 | |
---|---|---|
正式名称 | 育児休業 | 出生時育児休業 |
取得できる人 | 男女両方 | 男性 |
取得期間 | 子どもの出生後1年まで (最長2歳まで) | 子どもの出生後8週間以内 合計4週間まで |
分割取得 | 可能 | 2回に分割して取得可能 |
休業中の就業 | 原則不可 | 労使協定を締結すれば可能 (所定労働時間の半分まで) |
申出期限 | 原則1ヶ月前まで | 原則2週間前 |
給付金 | 育児休業給付金 | 出生時育児休業給付金 |
産休・育休中に受けられるお金の種類と仕組み
産休・育休を取得する際には、経済的な支援も受けられます。労働者が産休・育休中に収入を失わないようにするためのものです。
産休・育休中に受けられるお金は、大きく分けて3種類あります。
1.産休手当(出産手当金)
産休手当(出産手当金)は、健康保険の被保険者が、出産のために会社を休み、その間に給与の支払いを受けなかった場合に健康保険から支給される手当です。
支給額
支給額 = 標準報酬月額 × 2/3 × 産休日数(産前42日前から産後56日目まで) ※標準報酬月額:過去12ヶ月の給与を平均した額 |
支給条件
- 勤務先の健康保険の被保険者であること
- 妊娠85日(4ヶ月)以降の出産であること
- 産休後に職場復帰する予定があること
- 産休中に出産手当金以上の給料を受け取っていないこと
支給申請
申請書、母子手帳、医師または助産師による診断書などの必要書類を揃えて会社に提出します。会社を経由して健康保険組合に申請し、受理されると数か月後に指定の口座に振り込まれます。
参考:厚生労働省「働く女性の心とからだの応援サイト」
※健康保険組合等によって手続き等が異なる場合があるため、詳しくは加入している健康保険組合等に確認してください。
2. 出産育児一時金
出産育児一時金は、出産にかかる費用を助成するために支給される一時金です。健康保険に加入している方が対象で、子ども1人につき50万円が支給されます。出産費用に充てる場合は、直接支払制度を利用して産院に支払うこともできます。
支給額
50万円 ※加入している健康保険によってはさらに上乗せされて支給される場合があります |
支給条件
- 健康保険または国民健康保険に加入していること
支給申請
出産後、会社を通じて加入している健康保険組合または市区町村の窓口に申請します。申請には、母子手帳、出産証明書、健康保険証などが必要です。
3. 育児休業給付金
育児休業給付金は、育休中に受けられる給与の代わりとなる手当です。雇用保険に加入している方が対象で、休業前の賃金の67%(180日間)または50%(181日目以降)が支給されます。
支給額
育休開始から180日間の支給額=休業開始時の賃金日額×支給日数×67% 育休開始から181日目以降の支給額=休業開始時の賃金日額×支給日数×50% ※ 休業開始時賃金日額:育児休業開始前6カ月間の賃金を180日で割った額 |
支給条件
- 雇用保険に加入していること
- 育児休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12カ月以上あること
- 育児休業期間中に毎月、休業開始前の1カ月あたりの賃金の8割以上の賃金が支払われていないこと
- 就業日数が1カ月ごとに10日(10日を超える場合は就業時間が80時間)以下であること、育児休業期間が1日以上あること
支給申請
育休開始後、会社を通じて加入している都道府県の労働基準監督署に申請します。申請には、育児休業申出書、雇用保険被保険者証などが必要です。
保育園への入所ができないなどの場合は子供が1歳6カ月(最長2歳)になるまで育休期間を延長することができます。育休延長の際も、会社を通じて申請が必要です。
妊娠・出産でもらえるお金・免除制度
上記以外にも、妊娠・出産でもらえるお金や支援制度があります。
妊婦健康診査費の助成
住んでいる市区町村に妊娠届を提出すると、妊婦健康診査の受診費用の助成が受けられます。助成額は自治体によって異なりますが、およそ10万円ほどが上限になります。
出産・子育て応援交付金
2023年1月から開始された制度で、妊娠中から低年齢期の子育て期間を支援するためのものです。自治体によって内容は異なりますが、両親学級や産前・産後ケアなどに使えるクーポン券や交通系ICカード、出産・子育て応援ギフト券など様々な支援が受けられます。
育児休業中の社会保険料免除
育児休業中の健康保険料と厚生年金保険料は、被保険者・事業主ともに免除されます。これは、育児休業取得者が経済的な負担を軽減し、安心して育児に専念できるようにするためです。
また、産休・育休中は給与が支払われないため、雇用保険料も免除されます。
所得税・住民税の非課税
出産育児一時金および出産手当金、育児休業給付金は所得ではないので、所得税や住民税などは発生しません。
ただし、住民税は前年度の所得に対して発生するため、産休・育休開始後に支払う必要があります。通常は給与から天引きされるものですが、産休・育休中は給与の支払いがないため、一括支払いなどで対応します。事前に会社に確認しておきましょう。
傷病手当金
つわりや切迫早産などの療養のために仕事に就けない場合には、傷病手当金を受けられる場合があります。
傷病手当金とは病気やけがで連続して3日以上会社を休むことになった勤務者が、給与等の支払いを受けられない場合に、健康保険から支給される手当金です。
傷病手当金の支給額は、標準報酬月額 × 2/3 × 休業日数 で算出されます。
まとめ
産休・育休制度は、労働者が出産や育児のために利用できる重要な制度です。産休・育休中にもらえるお金や支援も手厚く用意されているので、不安なく休業することができます。
産休・育休制度の詳細や手当の計算方法、申請手続きについては、厚生労働省のウェブサイトで確認することができます。また、企業や加入している健康保険組合によっては独自の支援制度を設けている場合もあるため、勤務先の人事部門に問い合わせることも重要です。
厚生労働省・参考リンク
産休・育休はいつから?産前・産後休業、育児休業の自動計算
働きながら安心して妊娠・出産を迎えるために
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