7Sフレームワークは、組織変革の推進に役立つ考え方です。一般的に、組織変革を実施しようとすると、システムの導入や更新などの組織構造を重視しがちです。
しかし、組織構造のみを対策しても、課題を解決できない可能性があります。なぜなら、企業風土や人の価値観などに問題がある可能性もあるためです。
本記事では組織変革を推進したいビジネスパーソンに向けて、7Sフレームワークの基本や活用のコツを紹介します。
7Sフレームワークとは？
7Sフレームワークは、組織変革のためのフレームワークです。
世界的な大手コンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーが提唱したため、マッキンゼーの7Sとも呼ばれています。
7Sフレームワークの要素をわかりやすく解説
7Sフレームワークの特徴は、組織構造に関するハードの要素と人に関するソフトの要素の両面から組織課題を発見し、組織変革を効果的に推進できることです。
ハードとソフトの要素について解説します。
3つのハードの要素
ハードの要素は、組織構造に関わる要素のことです。具体的には3つの要素があり、3Sと呼ぶこともあります。
戦略（Strategy）
戦略の要素は、経営理念や目標達成に向けた経営戦略です。事業の方向性や経営課題の優先順位が決まっているかがポイントです。また、競合他社の強みや弱みを考慮したうえで、戦略を検討する必要があります。
組織構造（Structure）
組織構造の要素は、組織内の権限や指揮命令系統、チームメンバーの関係性といった組織の仕組みです。組織構造を把握したうえで、改善すべき項目がないかを分析します。
システム（System）
システムの要素は、営業管理ツールや顧客管理ツール、人事評価制度などです。システムがうまく機能しているかを分析します。
4つのソフトの要素
ソフトの要素は、組織風土や人に関する要素です。具体的には4つの要素があり、4Sと呼ぶこともあります。
組織風土（Style）
組織風土の要素は、経営方針や組織の文化、トップダウンやボトムアップといった意思決定方法などです。組織風土に課題がないかを確認します。
スタッフ（Staff）
スタッフの要素は、組織を構成する人材です。人材の過不足がないか、一人ひとりのモチベーションが低下していないかなどを確認します。
スキル（Skill）
スキルの要素は、組織を構成する人材の能力です。営業であればコミュニケーション能力や交渉力、ヒアリング力などです。目標の達成に必要なスキルが不足している場合は、スキル開発により獲得を支援します。
共通の価値観（Shared Value）
共通の価値観の要素は、企業理念や行動指針といった企業活動の根幹となる価値観です。適切な企業理念や行動指針が定められているか、社員全体に浸透しているかなどを確認します。
7Sフレームワークの使い方の手順
7Sフレームワークの基本的な使い方の手順は以下のとおりです。
手順1：組織の現状を分析する
7Sフレームワークのはじめの手順は、組織の現状の分析です。
7つの要素から組織を分析し、自社の強みや弱みを把握します。また、「現状の何が問題なのか」など、組織変革の必要性を明確にしておくことも大切です。
分析の精度を高めるには、顧客へのアンケートで情報を収集する方法も有効です。
手順2：組織課題を明確にする
7つの要素で分析した結果、どの要素に問題があるかを洗い出します。
課題を明確にしたうえで、優先順位を設定します。その際、経営上の課題は早期の解決が望ましいため、優先度を高く設定するのがポイントです。
手順3：変革案を作成して実行する
優先すべき課題から変革案を作成して実行します。また、対策した後の変化を測定しやすいように、目標を設定するのもポイントです。
手順4：効果を確認する
変革案を実施した後は、狙い通りの効果が出ているかを確認します。
具体的には、あらかじめ設定した目標値をクリアしているかどうかを確認してください。また、変革前後でデータがどのように変化したかもチェックします。
効果が不十分の場合は、改善案を再度検討して実行します。
7Sフレームワークを活用するコツ
ハードとソフトの要素の違いがあるため、7Sフレーワークを活用する際は注意が必要です。誤った活用方法をすると効果を得られない可能性があるためです。
ここでは、7Sフレームワークを活用するコツを紹介します。
ハードとソフトの両方を分析・変革する
7Sフレームワークを活用する際は、ハードとソフトの要素の両方を分析して変革する必要があります。
しかし、ハードの要素のほうが変革しやすいため、施策がハードの要素に偏ることがあります。それでは7Sフレームワークを十分に活用できません。
7Sフレームワークを活用するには、ハードとソフトの両方からアプローチしましょう。
ソフトの要素は長期的な視点で取り組む
7Sフレームワークを活用するコツは、ソフトの要素の変革は長期的な視点で取り組むことです。
ハードの要素はすばやく変革できることもあります。しかし、ソフトの要素の場合は社員の価値観を変えたり、スキルを身に着けたりするのに相応の時間が必要なためです。
7Sフレームワークで組織変革を推進しよう
7Sフレームワークは、7つの要素で組織を分析して課題を洗い出すことで、効率的に組織変革を推進できる考え方です。
- 営業組織の最適化で営業力を強化したい
- 組織課題を解決して競争力を高めたい
このような悩みをお持ちのビジネスパーソンは、この機会に7Sフレームワークの活用を検討してください。
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