スタートアップ企業とベンチャー企業、この2つの言葉はよく混同されがちですが、実は違いがあるのをご存じでしょうか? それぞれの特徴を理解することで、適切な営業アプローチができるようになります。
スタートアップ企業とは?

スタートアップ企業とは、創業間もない企業を指すこともありますが、経済産業省の定義によると、さらに「革新的なビジネスモデル」を強みに「短期間で成長する」企業という特徴があることがわかります。
① スタートアップとは、一般に、以下のような企業をいう。
経済産業省 2024年度版「スタートアップの力で社会課題解決と経済成長を加速する」より
1. 新しい企業であって、
2. 新しい技術やビジネスモデル(イノベーション)を有し、
3. 急成長を目指す企業
② スタートアップの意義
・スタートアップは、経済成長のドライバー。将来の所得や財政を支える新たな担い手。
・スタートアップは、雇用創出にも大きな役割。
・スタートアップは、新たな社会課題を解決する主体としても重要。
スタートアップ企業の特徴

スタートアップ企業は、まだ市場に確立されたビジネスモデルや収益源を持っていないことが多く、資金面で高いリスクを抱えています。
ただし、革新的な技術やサービスによって、既存の市場に変革をもたらす可能性があるため、ベンチャーキャピタル(VC)や投資家から資金調達しやすい傾向があります。
そのため、事業売却やIPO(新規上場)など「出口戦略(イグジット)」を見据え、出資者が利益を得る機会を作ることが必要になります。出口戦略がなければ、出資を受けることはできません。
よく聞くユニコーン企業とは?
ユニコーン企業とは、未上場でありながら、時価総額が10億ドル(約1,100億円)以上に達するテクノロジー分野のスタートアップ企業のことを指します。
そのような企業が非常に稀であり、幻想的な存在であることから「ユニコーン」と呼ばれています。近年では中国のSHEINやアメリカのStripe、日本ではSmartHRなどがユニコーン企業といわれています。
ベンチャー企業とは?

ベンチャー企業は創業期から成長期にある企業を指すだけでなく、新規事業に挑戦する企業全般を指すこともあります。大企業では取り組みにくい技術や新しいビジネスモデルを実践していることが多いです。
ベンチャー企業の特徴
ベンチャー企業は、市場に確立されたビジネスモデルや収益源を持っており、安定した利益を上げています。
既存の市場で競争力を高めるために、技術やサービスの改善はもちろん、ベンチャーキャピタル(VC)や投資家からの資金調達やM&Aなどの事業展開を行うこともあります。
スタートアップ企業とベンチャー企業の違いは?
スタートアップ企業とベンチャー企業は、よく混同される言葉ですが、実は明確な定義があります。スタートアップ企業とベンチャー企業の違いは、主に以下の3点になります。
1.ビジネスモデルや技術
スタートアップ企業は新規性や独自性が高く、市場のニーズに応えるものをめざします。一方、ベンチャー企業は既存の市場に参入し、競合他社との差別化やシェア拡大をめざします。
例えば、UberやAirbnbなどは、従来のタクシーや宿泊サービスとは異なるビジネスモデルや技術によって新たな市場を創出したスタートアップ企業です。一方、ライドシェアリングや民泊サービスに参入した他の企業は、既存の市場に挑戦するベンチャー企業です。
2.成長スピード
スタートアップ企業は革新的なビジネスモデルで、短期間で事業を急成長させることをめざします。事業売却やIPO(新規株式上場)などの出口戦略(イグジット)を見据えているため、成長曲線は「Jカーブ」を描きます。
ベンチャー企業は安定したビジネスモデルで堅実な成長を続けるため、成長曲線は「右肩上がり」になります。
3.資金調達方法
スタートアップ企業は自己資金やエンジェル投資家(個人投資家)など、比較的少額の資金で事業を立ち上げ、成長ステージに応じて資金調達額を増やしていきます。
一方でベンチャー企業はベンチャーキャピタルや銀行融資、株式公開などの大規模な資金調達を行います。
例えば、Facebook(META)やAmazonなどは、創業当初は自己資金やエンジェル投資で事業を開始したスタートアップ企業ですが、後にベンチャーキャピタルや株式公開で巨額の資金調達を行い、ベンチャー企業へと成長しました。
スタートアップの成長ステージ

スタートアップ企業は4つの成長ステージに分類されます。
明確な定義はありませんが、創業期を「シード」、事業化・収益化をめざすステージを「アーリー」、さらに収益安定化をめざすステージを「ミドル」といいます。
事業が成熟し、シェアの拡大や追加の資金調達を経てIPOやM&Aなどを視野に入れるステージを「レイター」といいます。
成長ステージと資金調達ラウンド
スタートアップ企業にとって、資金調達も解決すべき課題のひとつです。
しかし、創業間もない頃は実績がないため、金融機関からの借り入れは難しいです。そのため、成長ステージに応じてエンジェル投資家やベンチャーキャピタルなどから資金調達を行う必要があります。
成長ステージを明確にしたものを「ラウンド」といい、スタートアップ側は資金調達ラウンド、投資家側は投資ラウンドといいます。どれも投資ニュースなどでよく見る用語なので、覚えておくと理解が深まります。
もちろん、ベンチャー企業も同様にベンチャーキャピタルや銀行などから資金調達を行います。
シード | ・自己資金 ・インキュベーター ・アクセラレーター ・エンジェル投資家 | 100万~5,000万円 |
シリーズA | ・ベンチャーキャピタル ・コーポレートベンチャーキャピタル | 5,000万~5億円 |
シリーズB | ・銀行融資 ・ベンチャーキャピタル ・コーポレートベンチャーキャピタル | 5億円~10億円 |
シリーズC | ・銀行融資 ・ベンチャーキャピタル ・コーポレートベンチャーキャピタル | 10億円~30億円 |
シリーズD | ・銀行融資 ・ベンチャーキャピタル ・コーポレートベンチャーキャピタル | 30億円以上 |
スタートアップ企業一覧・ベンチャー企業一覧を調べるには?
スタートアップ企業やベンチャー企業を一覧で見たい、成長ステージを知りたいといったときは、データベースサイトの閲覧が便利です。
スタートアップ企業やベンチャー企業に特化したデータベースサイトがいくつかあるので、確認してみましょう。
・STARTUP DB(スタートアップデービー) ・INITIAL(イニシャル) |
また、スタートアップ企業、ベンチャー企業の資金調達情報がまとまったサイトやプレスリリースも参考になります。資金調達直後は営業のチャンスでもあるので、情報収集はとても重要です。
スタートアップ企業への営業のポイント
スタートアップ企業は、自社の製品やサービスに対する市場のニーズや反応を探っている段階です。また、資金や人材などのリソースが限られていることが多いです。
そのため、自社の製品やサービスがどのようにスタートアップ企業の課題や目標に貢献できるかを具体的に示すことが重要です。
また、経営陣や開発者などの意思決定者と対面できるケースも多いため、話を聞いてもらえる可能性は高くなります。
ベンチャー企業への営業のポイント
ベンチャー企業は、資金や人材などのリソースが豊富になっていることが多いです。ただし、競合他社との競争も激しくなっている段階なので、自社の製品やサービスがどのようにベンチャー企業の成長や戦略に貢献できるかを強調することが必要です。
また、ベンチャー企業では、経営陣や開発者などの意思決定者が多く、決済までのプロセスが長くなりがちです。導入実績や成功事例など、説得力のある営業資料を用意することで、社内共有がしやすくなるでしょう。
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まとめ
スタートアップ企業とベンチャー企業は、ビジネスモデルや資金調達などにおいて異なる特徴を持っています。しかし、これらの違いは必ずしも明確ではなく、企業の状況や目標によって変わることもあります。
スタートアップ企業とベンチャー企業の違いについて、理解を深めておくことでアプローチする際に役立ちます。